コロナ後の景気対策案に浮上した高速道路無料化。もういちど過去の道路政策を振り返る

終わりの見えない新型コロナウイルス感染拡大。日本でも緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大するなど対策に追われている。そうしたなか、コロナ終息後の景気対策として政府内で浮上しているといわれている案のひとつが「高速道路無料化」だ。ドライバーにとっては歓迎すべきものだが、実際にどんな影響があるのか、過去の政策を振り返ってみた。

当時政権与党だった民主党のマニュフェストが「高速道路無料化」

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の1年延期に始まり、各種スポーツイベントも相次いで中止となっている。自動車関連でいうと、国内自動車メーカーの多くが工場稼働を停止しており、モータースポーツでも開催が延期されるなど今後が見通せない状況が続く。

かつておこなわれた「高速道路無料化」「高速道路料金休日1000円」の景気対策は経済対策をもたらしたが渋滞も発生した(写真はイメージ)

 政府は特別措置法に基づく「緊急事態宣言」の対象地域を全国に拡大。生活にも大きな影響が出ているのが現状だ。

 そんななか一部の新聞報道で、感染の拡がりが終息した後の景気対策として、政府が高速道路の通行料金を無料化する案を検討している、というニュースが伝えられた。

 公式な発表がないので、今後それが実現されるのかは不明だが、われわれドライバーにとって高速道路の無料化は歓迎すべきことだろう。

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 高速道路の通行料金が無料になる政策といえば、およそ10年前、当時政権与党だった民主党がマニフェストで掲げた「高速道路無料化」が思い出される。

 当時の政策内容を振り返ってみると、すべての車両を対象に高速道路の通行料金を無料にする、というものだった。

 無料化の実施にあたり、地域経済の効果や渋滞と環境への影響を把握するために『高速道路無料化社会実験計画』が実施され、国費を充当することで、2010年6月から社会実験がスタートしている。

 これにより無料化された区間の交通量が増える一方で、並行する一般道の交通量が減少するなど一定の影響があったことは報告されている。

 しかし、当初から予算編成が難航したことで、日本の大動脈である東名高速道路や名神高速道路などは無料化区間に含まれず、実施されたエリアも地方を中心に全体の2割にとどまる50区間(約1600km)のみだった。

 さらに無料化の費用に税金が使われていることで、負担の不公平性や高速道路の大幅な渋滞増加、交通量の増加に伴い二酸化炭素排出量が増えたことなど、看過できない問題も指摘されていた。

 その後、2011年3月に東日本大震災が発生したため、復旧や復興のために国費が必要となることから、同年6月に社会実験は終了となった。

 この社会実験に対する総括は、2018年7月に発表された高速道路に関する調査・研究機関である財団法人・高速道路調査会によるレポート「高速道路の料金制度に関する研究」で報告されている。

 このレポートによると、将来の高速道路のあるべき料金制度として、

●高速道路建設のための債務を2050年までに一旦完済(償還満了) 
●建設のための債務返済後も高速道路は通行料金を下げたうえで有料での運営を続ける 
●高速道路を利用する人が通行料金を負担する 
●高速道路ネットワーク維持とメンテナンスのための財源を確保

 という提案がなされている。

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