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「センチュリー」はトヨタのものじゃなかった!? 「シグナス」や「GT」など自動車にまつわる商標のお話

トヨタ「センチュリー」の商標権はトヨタが持っていなかった!

 普段の生活において“商標権”を気にする人は少ないだろう。例えば、傷口に貼る絆創膏のことを「バンドエイド」と呼ぶ人は多いだろうが、「バンドエイド」はジョンソン&ジョンソンが商標権を持っていて、ほかのメーカーが勝手に“バンドエイド”と名乗ることはできない。

1967年に登場したトヨタの誇るショーファードリブンカー「センチュリー」。現行型となる3代目は、レクサスLC500と同じV8エンジンを搭載したハイブリッドとなっている(C)トヨタ自動車
1967年に登場したトヨタの誇るショーファードリブンカー「センチュリー」。現行型となる3代目は、レクサスLC500と同じV8エンジンを搭載したハイブリッドとなっている(C)トヨタ自動車

●トヨタの「センチュリー」の名に対する思い入れ

 サービスや商品の名称、ロゴなどを「商標」として特許庁に登録すると、指定した範囲(分類のようなもの)において、商標登録権者は独占的排他権を主張できるようになる。独立行政法人工業所有権情報・研修館が提供する「J-Plat Pat」という特許情報プラットホームでは、登録された商標を見ることができる。なお「商標」だけでなく、「特許・実用新案」、「意匠」も検索可能。

 早速使ってみたら、面白いことを見つけてしまった。なんとトヨタが誇る高級車「センチュリー」の商標権は、実はトヨタが所有しているわけではなかったのだ。

 では、誰が所有しているかといえば、東京都内で自動車部品や機具を製造している、小西製作所という会社だ。商標登録では「商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務」の指定が必須なのだが、小西製作所は“センチュリー”の名称を航空機やその部品、及び附属品、さらに自動車(トラクターを除く)とその部品及び附属品、二輪自動車・自転車と、それらの部品及び附属品として申請・登録している。

 つまり、航空機や自動車、オートバイ、自転車とそれらの部品や付属品は、小西製作所以外には「センチュリー」と名乗ることができない、ということ。もっとも小西製作所と個別契約を結ぶことで、商標の使用は認められる。なお、小西製作所が商標登録を出願したのは1936年11月10日。登録されたのは1937年6月25日だった。

 小西製作所に問い合わせてみると「先代が機械部品を”世紀”と名付け商標登録したものを昭和に入って“センチュリー/Century”で取り直したんです」との回答が得られた。そして、トヨタ センチュリーについて聞いてみると、商標権利用についてトヨタと契約が交わされていることも確認できた。

 英語で「世紀」を意味する“センチュリー”の名称は、初代センチュリーが発表された1967年が、トヨタグループの創設者である豊田佐吉の生誕から100年であり明治100年でもあることに由来している。それだけトヨタ側の思い入れが強く、是が非でも「センチュリー」という車名にしたかったのであろう。なお、センチュリーに用いられる「C」のロゴはトヨタが商標登録している。

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