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強奪された「フェラーリ」の数奇なオーナー遍歴とは? 屋根なしだと3倍の値段になる「デイトナ スパイダー」は3億円!!

ハリウッド映画監督も所有した数奇なオーナー遍歴の「デイトナ」とは

「ARIZONA」オークションに出品されたフェラーリ365GTS/4デイトナ・スパイダーは、巨匠とも称されるハリウッドの名監督による所有歴もある一方、なかなか波乱万丈のヒストリーをたどって来た1台でもあるそうだ。

マラネッロで正式にスパイダー化されたデイトナは、121台(ほかに127台説などもあり)(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
マラネッロで正式にスパイダー化されたデイトナは、121台(ほかに127台説などもあり)(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

●もっとも好ましいマラネッロ製スパイダーのひとつ

 この個体のシャシーナンバーは「#14779」。121台が製作されたといわれる365GTS/4の中でも31番目につくられたもので、オーダー時のリバリーは「アルジェント・メタリッツァート(シルバーメタリック)」のボディに黒革レザーのインテリアの組み合わせ。

「ロッソ(赤)」や「ジャッロ(黄色)」が多勢を占めるデイトナ・スパイダーの中で、アルジェント・メタリッツァートで製作されたのはわずか14台のみ。この特徴は独特のシックな雰囲気のみならず、現代の市場が求める希少性ももたらすことになった。

 1971年12月に完成した「#14779」は、1972年6月にキネッティ・モーターズがアメリカに輸入。イリノイ州のディーラーを介して、ヴァージニア州在住の初代オーナーに引き渡された。

 そして同じヴァージニア州の2代目オーナーを経て、3年後にこの「#14779」のオーナーとなったのが、「追憶」や「トッツィー」でアカデミー賞にノミネートされたのち、1985年の「愛と哀しみの果て」でついにアカデミー作品賞と監督賞を受賞した巨匠、シドニー・ポラック監督だった。

 その後この個体は、1979年にメキシコシティの自動車コレクターに譲られたものの、新オーナーは当時のメキシコ大統領ともつながりを噂された人物によって、アメリカから持ち込まれた直後に愛車を奪われてしまう。この段階でデイトナ・スパイダーは行方不明となり、次に現れたのは1983年春。カリフォルニア州コスタメサの修理工場に入庫しているところを発見された。

 翌1984年には、オハイオ州のコレクターが合法的な手続きを経て入手。この新所有者は2年後、走行距離計が3万4000マイルを超えた段階で販売希望の広告を出した。

 ところがこの広告を見た人の中には、メキシコで愛車を強奪された元オーナーもいた。彼は早々に法的措置を取り、積年の宿願だったデイトナ・スパイダーの所有権を取り戻すことに成功したという。

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