電気自動車として発売予定の新型デロリアン
創設者のジョン・デロリアン氏は元々GMの役員だったが、理想のクルマを作るため独立しデロリアン・モーター・カンパニーを設立した。そして1981年に誕生したのが、デロリアンの名で有名な「DMC-12」だった。

イタルデザインの創設者であるジョルジェット・ジウジアーロ氏がデザインしたエクステリアは、現代の基準で見ても未来的な雰囲気を演出している。ボディはステンレスで、塗装をせず研磨傷を残したヘアライン加工され、金属らしい質感を高めている。
発表後、多くのオーダーを獲得することに成功したデロリアン氏だったが、工場を置くイギリスからの補助金発給が停止したことや、コカインの所持容疑などのトラブルを抱え、最終的に資金繰りが厳しくなるまでに経営は悪化。約8900台を生産したところで、デロリアン・モーター・カンパニーは倒産。それは1982年のことだった。
このDMC-12あらためデロリアンが有名になったのは、そのわずか3年後だった。1985年公開の映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で、デロリアンはタイムマシンに改造されて劇中車として登場したのだ。その起用の決め手はガルウイングドアが未来的だったから、と映画制作陣は後に語っている。
既に倒産したメーカーのクルマにも関わらず、映画が大ヒットしたことによって、デロリアンの知名度は凄まじいものとなった。
●EVで復活するデロリアン
そんなデロリアンだが、なんと新型モデルが登場する、と2022年2月に発表された。発表はデロリアン・モーターズによるもの。倒産したデロリアン・モーター・カンパニーや、倒産後にデロリアン氏から社名譲渡の権利を取得し、レストア事業をおこなっているデロリアン・モーター・カンパニーとはまた違った会社だ。ただ公式ツイッターなどではお互いの公式サイトを掲載しあっていたりするので、無関係というわけではないようだが……。
詳細な情報はまだ不明だが、パワートレインは電動で、最高出力はなんと1360ps。一充電あたりの航続距離も、驚きの1000km超だという。
そして、ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングが開発したEVXプラットフォームを採用する、という情報が公表されている。
エクステリアは、シルバーのボディとガルウイングドア、謎のV字デザインを持つグリルなど、一部がティザー動画で明らかになっている。
新生デロリアンがどんな形となって登場するかはわからないが、発売されればきっと、タイムマシン風にカスタマイズする人が出てきてもおかしくないだろう。映画ファンやカーマニアであれば、その姿をぜひ見てみたいものだ。