将来的にコレクターズアイテム必至の「SLS」の現在の価値は?
RMサザビーズは、2022年の幕開けともいえる「アリゾナ・オークション」に、2台のメルセデス・ベンツ「SLS AMG」を出品した。ひとつは2011年式のクーペ、そしてもうひとつは2012年式のロードスターで、いずれも最低落札価格は設定されず、エスティメート(予想落札価格)はクーペが22万5000ドル~27万5000ドル(邦貨換算約2580万~3160万円)。ロードスターは12万5000ドル~15万ドル(邦貨換算約1440万~1720万円)という数字でオークションは開始した。

●実質的な「SLRマクラーレン」の後継モデル
メルセデス・ベンツ「SLRマクラーレン」シリーズの生産が終了したことで、新たな完全自社開発の新型車開発プロジェクトをスタートさせたメルセデスAMG社。
実際にそのボディシルエットやガルウイング式のドアを見れば明らかなように、モチーフとなったのは1950年代に誕生し、モータースポーツにおいても多くの勝利を獲得した「300SL」にほかならない。
だが実際にメルセデスAMGが2009年のフランクフルト・ショーで世界初公開した「SLS AMG」は、そのスタイルこそかつての300SLをモチーフとしながらも、技術的には当時の最先端ともいえるものを惜しみなく導入したモデルだった。
一方で前作、すなわちメルセデス・ベンツ、マクラーレンとの共同製作によるSLRマクラーレンと比較すると、その車両価格はスーパーカーの中でも大幅に抑えられ、新たなカスタマー層を採り込もうという狙いも直接的に感じられた。
メルセデス・ベンツとしては初のアルミニウム製スペースフレームの採用によって、ホワイトボディの重量はクーペで241kgに抑えられ、スチールはロールオーバー対策のためにAピラーの内側のみに使用、重量比ではわずか4%にとどまるというのだから、メルセデスAMGの軽量化に対する取り組みは実にストイックなものだ。
搭載エンジンは、2011年に追加されたロードスターも含め、メルセデスAMG製のM156型をベースにドライサンプ化などのチューニングをおこなった、6208cc仕様のV型8気筒DOHC4バルブ。新たにM159型を名乗ることとなったこのエンジンは、M156型から46psのエクストラを得て571ps仕様となり、AMGスピードシフトDCT-7との組み合わせで0−100km/h加速3.8秒、最高速317km/h(いずれもクーペでの公称値、最高速はリミッター制御)を実現するに至っているのだ。
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