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「カウンタック」や「BB」のライバルだったマセラティ「ボーラ」が急騰中! 再評価され始めた理由とは?

「カウンタック」と「BB」のライバル? マセラティ「ボーラ」について

 マセラティは、ランボルギーニはもちろんのこと、フェラーリよりも遥かに長い歴史を誇る名門メーカー。ところがそのマセラティが製作した「ボーラ」は、当時最新のミッドシップ・スーパーカーだったにもかかわらず、日本の子供たちの間に吹き荒れた「スーパーカーブーム」時代に人気を二分していた「フェラーリBB」と「ランボルギーニ・カウンタック」の影に隠れ、明らかに不本意なランクづけを強いられたモデルだった。

この時代のスーパーカーの象徴でもあったリトラクタブルヘッドライトの昇降には、油圧による「ハイドロ・ニューマティック」が採用されていた(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
この時代のスーパーカーの象徴でもあったリトラクタブルヘッドライトの昇降には、油圧による「ハイドロ・ニューマティック」が採用されていた(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

●BBやカウンタックよりも洗練されていた「ボーラ」

 また、漫画「サーキットの狼」においても「切替テツ」なるゲストキャラクターの愛車として露出の機会も極めて少ない(しかも最後は池に沈められてしまう……)など、常に脇役的な印象に付きまとわれたモデルであることは認めざるを得ないだろう。

 1960年代は名作「ギブリ」を擁して「フェラーリ・デイトナ」および「ランボルギーニ・ミウラ」と三つ巴の最速争いを繰り広げたマセラティだが、1970年代を迎えるとフェラーリは「365GT4/BB」、ランボルギーニはカウンタックを投入し、イタリアの大排気量スポーツカーの世界はミッドシップ時代に突入しようとしていた。

 それまでは新技術の導入には慎重だったマセラティも、この時ばかりは負けじと「カウンタックLP500」の初お目見えと同じ1971年のジュネーヴ・ショーにミッドシップのボーラを出品する。

 この時期のスポーツカーとしてはかなり長かった2600mmのホイールベースを巧みに昇華し、スタイリッシュに仕立てたボーラのモノコックボディは、独立して間もないジョルジェット・ジウジアーロ率いるイタルデザイン社によるもの。リトラクタブル式の丸形2灯ヘッドライトや、ステンレス製のルーフが外観上の特徴となっていた。

 パワーユニットはレーシングカー譲りのV型8気筒4カムシャフト。ただしデビュー当初は、ギブリの最強版「5000SS」用のエンジンは搭載されず、310psを発揮するとされた4.7リッター版のみが搭載。マキシマムスピードについては、ギブリ5000SSと同じ280km/hと公表していた。

 1973年には、まずはアメリカ市場向けに排ガス対策を施した4.9リッターV8を搭載。こちらは300psにパワーダウンしていたが、1975年のマイナーチェンジでは欧州マーケットでもフルパワー(320ps)の4.9リッターユニットが搭載されることになった。

 しかしボーラのテクノロジーにおける最大の特徴といえば、当時マセラティの親会社だった仏シトロエンから拝借し、4輪ディスクブレーキにポップアップ式のヘッドランプの昇降、果てはパワーウインドウ/シートなどにも導入されていた、油圧による「ハイドロ・ニューマティック」が挙げられよう。

 またフロントに実用的なラゲッジスペースを持つことや、有効な遮音材や断熱材がちゃんと貼られていることなど、キャラクターについてもスパルタンなカウンタックやBBとは一線を画した、高級グラントゥリズモとしての資質も追求されていたとのことである。

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