約1700台しか生産されていなかった希少車がはやくも引退
メルセデス・ベンツ専門情報サイト「MB Passion」の情報によると、メルセデスAMG「GT ブラックシリーズ」の生産が終了したという。このモデルは、AMG GTのハードコア仕様であり、GT4やGT3などのモータースポーツで培った技術を余すことなく採用した、公道走行可能なレーシングカーだ。

●AMGがニュル市販車最速だったのは7か月と短かった
AMG GT ブラックシリーズは、レース由来の強力なダウンフォースを発生するエアロパーツを装備しており、専用チューンが施された4リッターV型8気筒エンジンをフロントに搭載する。出力や走行性能はこれまでの市販AMGモデル最強の性能を誇っていた。最高出力730psという大パワーはすべて後輪へと伝えられる。
2020年11月には、ニュルブルクリンク北コースでの市販車最速タイムに挑戦し、当時の王者であったポルシェ「911 GT2 RS」よりも速い6分48秒047を記録した。
4WDやMRのクルマが記録を出しやすいといわれているニュルブルクリンクは、FRのクルマには厳しいコースで、ここ数年はトップ10にFRは存在しないという状態だった。
そんな状況のなか、パッケージングで圧倒的不利なはずのAMG GT ブラックシリーズが、無改造でニュルブルクリンク市販車最速の称号を手にしたのは、驚異的な出来事だった。
残念ながらその翌年となる2021年6月に、マンタイレーシング製のエアロパーツを備えたポルシェ「911 GT2 RS」が6分38秒835を記録したため、AMG GT ブラックシリーズが王者であった期間は7か月ほどと短かった。ただ、ポルシェはニュルブルクリンク最速にこだわっており、首位を取られたら大体1年以内に奪い返すというスタイルを取っているのでこれは仕方ないことではある。
約1700台の生産台数で販売が終了したAMG GT ブラックシリーズ。次期モデルの登場がいつになるか、そしてV8を採用し続けるのか? まだ予想もできない状況だ。