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ポルシェ「911」に「ヒラメ顔」があった! 「カエル顔」ではない公認「911ターボS」の市場価値は2倍に高騰!!

ポルシェ公式で限定生産された、カエル顔ではない911ターボ

「フラッハバウ(Flachbau)」というドイツ語を知るのは、少なくとも日本国内では重度のポルシェ愛好家に限られるかもしれない。英語圏では「フラットノーズ」と呼ばれるように、フロントフェンダー両サイドのライトポッドをカットし、いわゆる「カエル顔」ではなくしたポルシェ「911」のことを指して呼ぶとのことである。

フラットノーズといえば、リトラクタブルヘッドライトを思い浮かべるが、これは「968」用ユニットをコンバートしたようだ(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
フラットノーズといえば、リトラクタブルヘッドライトを思い浮かべるが、これは「968」用ユニットをコンバートしたようだ(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

●シルエット・フォーミュラのスタイルを受け継いだフラットノーズ

 1970年代の後半、レースレギュレーションの隙間をつくようにフラットノーズ化したポルシェ「935ターボ」が、グループ5シルエット・フォーミュラの最強マシンとしてスポーツカー耐久レースで圧倒的覇権を謳歌。世界中のファンを魅了したことから、そのイメージをロードカーとしての911にも投影したモディファイが、まずは旧西ドイツ・フランクフルトの「b b」社など、ポルシェ社外のスペシャルコーチビルダーの手によっておこなわれることになる。

 これらのカスタム911はきわめて高価ながら、一定の成功を収めることができた。そして1987年には、名作930系「911ターボ」のフィナーレを飾る限定モデルとして、リトラクタブル式ヘッドライトを持つフラットノーズや、エアベント付きリアフェンダーでモディファイした初代「フラッハバウ」が、ポルシェの公式モデルとして登場。1989年ごろまでに世界限定50台+αが生産されたといわれている。

 そして911シリーズが「964」系に進化し、その964系も次世代、そして空冷911最終型の「993」系へとバトンタッチする直前の1994年モデルから、ポルシェはファイナルモデルとして「ターボS」を用意することになった。

「ポルシェ・エクスクルーシヴ」によって限定生産されたターボSは、すべて「X88」と呼ばれるパッケージオプションのエンジンを搭載。このX88パッケージは、ブースト圧アップやインタークーラーの高効率化、専用のヘッドやインジェクターによって標準型「ターボ3.6」対比で25psのスープアップを図り、シングルターボ時代としては最強となる385psのパワーを得ていたという。

 この964ターボSにさらなるオプションとして設定されたのが、第二世代の「フラッハバウ」である。

 合計76台の964ターボSフラッハバウ・クーペが製作されたが、実はその中でも仕向け地によって細分化されている。

 まずは日本市場に向けて10台が製作された「X83」は930時代の「元祖フラッハバウ」に近い、リトラクタブル式ヘッドライトとサイドストレークを備えていた。

 また日本以外の地域に向けた27台の「X84」は、同時代の968を思わせる「フリップアップ」式ヘッドライト。アメリカ市場向けに39台が製作された「X85」のヘッドライトもX84と同様であった。

 さらに北米向けには通常のヘッドライトを持つ、フラッハバウではないターボSも17台が生産され、こちらはエンジンパッケージから「X88」と呼ばれることが多いとされているようだ。

 いずれの964ターボSフラッハバウも、古典的な空冷フラット6+シングルターボ、そして後輪駆動ターボ時代の最高のスペックに加えて、独特のルックスとエクスクルーシヴ性を組み合わせた、この時代におけるもっとも希少、そしてもっとも人気の高いポルシェの1台と目されているのだ。

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Gallery【画像】貴重であるがゆえに高額なヒラメ顔の「911ターボS」を見る(26枚)

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