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電動バイク界の「テスラ」を目指す!? 配車サービスで大赤字のオラ社が10万台の電動スクーターを販売できたワケとは?

安さにシビアなインド市場は厳しかった!

 2021年12月、インドで配車サービスを提供するオラ社が、子会社の「オラ・エレクトリック」を通じて10万台の電動スクーターを生産した、という話題が飛び込んできた。

 なんでもないニュースのように聞こえるかもしれないが、そもそもオラ社はアメリカのUberのような“配車サービス事業者”であって電動スクーターメーカーではない。そのため製造からサプライチェーン、バッテリー技術、耐久消費財、電動車などに関する知見はゼロに等しかったにもかかわらず、電動スクーターを生産したのだ。

オラ社の電動バイク「S1」。多彩なカラーバリエーションをラインナップしている(C)Ola Cabs
オラ社の電動バイク「S1」。多彩なカラーバリエーションをラインナップしている(C)Ola Cabs

●時価総額30億ドル規模の株式公開を目指すオラ社

 数年前、オラ社は配車サービスに使うクルマの電動化を計画するも失敗した。充電インフラが整っていないことと、そもそもオラ社のドライバーたちにとって電気自動車は高価すぎたのだ。ちなみにUberは配車手数料で稼いでいると思われがちだが、本来はUberドライバー向けに自動車を販売するのが目論見だった。

 コロナ禍によりサービス利用者が激減したオラ社は、全従業員数の33%にあたる1400人の人員削減に追い込まれた。にもかかわらず、電動スクーター製造・販売事業に手を出し、さらには電気自動車の開発にまで乗り出そうとしている。

 そんな大胆な方針転換ができるのは、ソフトバンクやタイガー・キャピタルなどのファンドから巨額の投資資金を集めることに成功しているからだ。今年は時価総額30億ドル規模のIPO(株式公開)を目指している。

 ただ、インドは自動車メーカーにもバイクメーカーにもなかなか厳しい国のようだ。というのも消費者が価格にシビアで、かつてフォードやGM、ハーレーダビッドソンなどがインド市場からの撤退に追い込まれた。

 電動スクーター市場を見ると、地元のライバルメーカーがひしめき合っている状況だ。例えば、インドを代表するバジャージは象徴的な中産階級の乗り物である「チェタック」を電動化して投入。ヒーローエレクトリックは、インド市場でもっとも安価な電動スクーターのひとつである「フォートン」を投入しており、インドにおける電動バイク市場の36%を占めている。そのほか、オキナワというバイクメーカーが6種類の電動スクーターを展開し、市場の20%近くを確保している。

 まさにレッドオーシャンだが、オラ社も単独で挑んでいるわけではない。一昨年にはオランダのエテルゴ社を買収した。エテルゴ社は、電動バイクのバッテリーを満充電のものと交換し、充電時間を削減するバッテリー交換システムを開発している。とはいえ買収から1年で10万台の生産・販売にこぎつけたのは……、ただただ「凄い」のひと言に尽きる。

Nextテスラのように大化けするかもしれないオラ社の目論見とは
Gallery【画像】電動スクーター界のテスラを目指してる、かもしれない「オラ」の製品を見る(5枚)

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