アルファ ロメオ新型SUV「トナーレ」発表! パワートレインとグレード構成に受注開始時期など全部お教えします
3年の時を経て「ステルヴィオ」の妹分「トナーレ」が誕生
これまで僕はこのVAGUEでも、アルファ ロメオの「ステルヴィオ」シリーズを何度も賞賛してきた。理由はとてもシンプル。何度もテストをして、ステルヴィオほどドライビングの楽しさにこだわったSUVは存在しないし、“快”に満ちたSUVもそうはない、と実感してきたからだ。
そしていよいよ、ひとまわり小さな妹版といえる「トナーレ」が正式発表となった。コンセプトが披露されたのは2019年のジュネーヴショー。僕たちファンは3年間も待ったのだ。
その気持ちをきっちりと埋めてくれるクルマに仕上がってるかどうかは実際に走らせてみないと何ともいえないし、それは数か月先のことになるのだろうけど、公開されたプロファイルを見る限りでは、ますます期待感が膨らんだ感じだ。
●かつての名車たちから受け継いだデザイン
まず第一に、やっぱり素直にカッコいい。アレッサンドロ・マッコリーニをはじめとするアルファ ロメオのチェントロ・スティーレ(デザインセンター)の面々が手掛けたスタイリングは、3年前に僕たちの気持ちを惹いたコンセプトカーほぼそのまま。新鮮さと不思議な懐かしさが矛盾なく同居してる印象だ。
現在のチェントロ・スティーレのデザイナー陣は、アルファ ロメオに連綿として流れるヒストリーとストーリーにリスペクトを抱いてるようで、アレーゼにあるムゼオ・ストリコ・アルファ ロメオ(アルファ ロメオ歴史博物館)をよく訪ねているようだ。
そんな中から得た着想を解釈しなおして、このクルマのデザインに活かしたのだろう。例えばヘッドランプからテールランプまで続くサイドのショルダー部周辺の緩やかなカーブは、初代「ジュリア・クーペ」に通じるものだ。
そのはっきりとしたボリューム感に対して、三次元の曲面を絶妙に変化させながら前後のホイールを繋いで明暗を作るあたりは、「スパイダー・デュエット」や「スプリント・スペチアーレ」で見られた絶妙な面処理を連想させる。
サイドウインドウのいちばん後ろ側の収束のさせ方、サイドから回り込んでいくような5角形をまるめた感じのリアウインドウは、「8Cコンペティツィオーネ」だ。
キリッとした3つ目のヘッドランプは、ES30の「SZ/RZ」や「プロテオ・コンセプト」、そして「159」、「ブレラ」、「939スパイダー」を想起させる。
また「ミト」あたりからバンパーの一部のようになっていたアルファのアイコンともいうべきスクデット(盾)は、トナーレでは完全に独立したものとされているが、その下側左右のエアインテークと合わせたトリロボ(三葉飾り)は、大きさやバランスなどは異なるものの歴代の様々なモデルに見ることのできる意匠だ。
テレフォン・ダイヤル型のホイールも、1960年代半ばの「ジュリアGTA」や「ティーポ33/2ストラダーレ」あたりから、比較的頻繁に使われてきたモチーフだ。
それらのディテールは昔の模倣ではなく、互いに上手く溶け込むようにしてあしらわれている。それもあって、全体的には全く新しいアルファ ロメオのSUVであるようにしか感じられない。マニアックなファンには見つけていく歓びがあるわけだが、この辺り、デザイナー陣の巧みさ以外のなにものでもないな、と素直に思わされる。
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