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「美しすぎるロールス」が2年かかって完成! シンガポールの富豪がオーダーしたビスポーク「ファントム」とは

シンガポールのオーナーが注文した2年がかりの「ファントム」とは

 2021年、ロールス・ロイス・モーターカーズ社は世界50か国で5586台を販売し、年間販売台数は同社の117年の歴史においても最高の数字を計上したという。この成功をけん引する原動力のひとつとして、現代の「ビスポーク」ムーブメントの先駆けとなったスペシャルオーダーモデルたちの存在は欠かせないだろう。

蘭の花に触発された紫の色合いが加えられたボディカラー
蘭の花に触発された紫の色合いが加えられたボディカラー

 これまでVAGUEでも、グッドウッドのロールス・ロイス社ビスポーク部門から生み出された作品の数々を紹介してきたが、今回はシンガポールの顧客のオーダーによって、デザイナーと職人たちが約2年間を費やして製作した最新作を紹介しよう。

 名前は「ファントム・オーキッド(PHANTOM ORCHID)」。オーキッドとはラン科の花を意味する英語であり、その名のとおり蘭の花をモチーフとしたアートによって彩られた1台である。

●蘭のサンクチュアリを手彫りで実現

 現行型の「ファントム」がデビューした際、そのインテリアをもっとも特徴づけるものとして話題を呼んだのは「ギャラリー」と呼ばれるダッシュパネルだった。

 これは、助手席側に置かれるグローブボックスの上部に、ショーケースや絵画の額のごとき素通しガラスの「ギャラリー」をレイアウトしたもので、注文主はロールス・ロイス社のビスポーク部門に属するアーティストがシルクや彫金などのマテリアルをいかして制作した、個性的なアート作品を設えることができることになっている。

 今回の「ファントム・オーキッド」では、ガラス張りのギャラリー内に小さな作品を収めるのではなく、通常ならばギャラリーが設置される助手席側ダッシュボードのすべてを蘭の花をモチーフとした作品とするという、かなり思い切った設えとされた。

 エレガントでエキゾティック、優雅でありながら丈夫な蘭の花は、これまでの歴史を通じて数々の芸術作品のテーマとなってきたそうだが、ロールス・ロイスで選ばれたのはこれが初めてである。

 ロールス・ロイス社ビスポーク部門のリードデザイナー、マイケル・ブライデン氏は、今回の発表に際して、以下のようなコメントを発している。

「私たちの最上級モデルであるファントム・エクステンデッドは、この作品において『空白のキャンバス』として選ばれました。我々のコンセプトは、バランスのとれた進歩的なデザインを想定するとともに、シンガポールの土地柄を反映しています。

 蘭の花はアジアの生活の多くの側面で見られ、その回復力は進化する環境に関係なく適応し、繁栄することの象徴となっているそうです。

 一方ファントムは、世界でもっとも高級な乗用車であるとともに、その内部の『サンクチュアリ』で芸術や彫刻、自己表現の作品を展示することを可能にする空間でもあります。そしてファントム・オーキッドのために、私たちは様々な受賞歴を誇る世界的アーティスト、ヘレン・エイミー・マレー氏の協力を得て、一品製作でシルクのアートワークを作成することとしました。

 彼女はこの作品をグレースホワイトにハバナ、スモークグレーとダークオリーブステッチによるエレガントなブレンドで仕上げ、インテリアはファントムのキャラクターに固有の穏やかなキャラクターを連想させるものとなりました」

Nextクルマというよりアート作品を作るような作業とは
Gallery【画像】華麗な蘭の花が取り入れられた「ファントム」を見る(22枚)

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