フェラーリやアストンに負けないために作られた特別な「300SL」とは
RMサザビーズが、アメリカのアリゾナ州フェニックスで開催していた「アリゾナ・オークション」が、大盛況のもとで終了した。同社によれば、その成約率は95%。総落札額は4330万ドル(約49億9988万円)に達したという。

●90kg以上ダイエットした「300SL」
その中でトップセールスを記録したのは、1955年式のメルセデス・ベンツ「300SLクーペ・ガルウイング」。
1371台が生産されたというスチール製ボディの300SLクーペとは異なり、アルミニウム製ボディを持つ今回の出品車は、さらにフロントガラス以外のウインドウにすべてプレキシグラスを採用するなど、レース参戦のために徹底的な改良を施したもの。
その結果メルセデス・ベンツによれば、94.8kgの軽量化に成功したとされる。これによってアストマーティン「DBS3」やマセラティ「A6GCS」、あるいはフェラーリ「750モンツァ」や「250GT」などとのライバルに、300SLクーペは対決できるようになったのだ。
軽量化に伴って、サスペンションも専用のスプリングとショックアブソーバーを備えるものへと改められ、ラッジ製のセンターロックホイールとベント付きのフロントブレーキドラムも標準装備された。
一方エンジンは、競技用のカムシャフト、圧縮比の向上、独自のバタフライバルブ等々などを採用し、さらに高性能化したNSLエンジンを搭載し、最高出力で215psを超える性能を発揮。
そして1955年、メルセデス・ベンツはこのアルミ・ボディ仕様の300SLクーペの生産を開始。1955年に24台、翌1956年には5台がプライベーターのカスタマーのもとへと出荷されたという。
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