特別な記念日を「スターライトヘッドライナー」で表現
1904年の創業から第二次世界大戦の直前まで、ロールス・ロイス(R-R)の歴史はビスポークの歴史にそのままリンクしていた。ところが第二次大戦後、とくに1960年代以降はボディのモノコック化が進み、ボディカラーやインテリアのマテリアルくらいの選択肢に限られてしまっていた。
しかし今世紀を迎えたのちの、いわゆる「グッドウッドR-R」では、ビスポークへの取り組みを復活させ、専用のスタジオやデザイナーを擁して顧客の特別オーダーに応える体制を構築。ここ数年だけでも、数多くのマスターピースを送り出してきた。
今回は現代のロールス・ロイス製ビスポーク車両の中でも、とくにアイコニックな5台をピックアップし、紹介することにしよう。

●LANDSPEED COLLECTION
1938年に世界公認陸上スピード記録に挑戦した「サンダーボルト(Thunderbolt)」号と、その開発エンジニア兼ドライバーであるイギリスの英雄、ジョージ・エイストン大尉が達成した偉業へのオマージュを体現し、「レイス・ブラックバッジ」ベースが35台、「ドーン・ブラックバッジ」の25台、合わせて世界限定60台が製作されるスペシャルモデル。
ダッシュパネルには、エイストンが1937-38年に世界記録を目指して走った舞台、ボンネヴィル塩湖のひび割れた湖面を再現したキャッピングが施される。
また、固定ルーフを持つレイスの天井には、エイストン大尉が3度目にして最後となる陸上スピード記録を記録した1938年9月16日の夜空を、光ファイバーで正確に描写した「スターライトヘッドライナー」も装備される。

●DREAM GHOST
南フロリダ在住のアントレプレナーで、自動車コレクターとしても知られるデーヴィッド・バートシアク氏のオーダーによって製作された「ドリームゴースト」は、この上なくパーソナライズされたイルミネーションフェイシアのキャンバスとなった。
バートシアク氏は、ロールスロイス・ビスポーク部門のデザイナーに個人的なリクエストをおこない、イルミネーションフェイシアの刻まれる文字を「GHOST」ではなく「DREAM」とするようにオーダーした。
また天井の「スターライトヘッドライナー」は、1983年に彼が誕生した日のフロリダ州ベロビーチ上の星座を、1236個の個別の光ファイバーライトで描き出しているという。
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