「クラシックミニがEVになった!」どうしてBMWが古いミニを今になって電動化するのか?
取り外したエンジンをなぜ保管するのか?
ちなみに、現行車であるクーパーSEに搭載されているパワーユニットの出力は、135kW(184ps)・270Nm。0-100km/h加速は7.3秒、最高速度はリミッターによって150km/hに制限されている。
航続可能距離はWLTPモードで234kmなので、このMINIリチャージドは、現行クーパーSEの動力性能にはかなわない。ここは、ボディサイズに相応しい動力性能を持つ、と考えればいいだろう。
●いつでもエンジンに戻すことが可能
しかし、注目すべきなのは、単なる電動化では話が終わらない、ということだ。このMINIリチャージド・プロジェクトでは、取り外したオリジナルのエンジンを「歴史的な遺産」として、各車両のエンジンごとにマークを付け、将来オリジナルの状態に戻す際に再利用できるよう、保管しておくのだ。
これが、Körber氏が述べている「MINIの過去と未来をつなぐ」という言葉の意味となっている。
今回のMINIリチャージド・プロジェクトは、おそらくは法規的な問題から、英国のみで実施されることになっている。英国ではこのような電気式クラシック改造車は、新たに登録する必要がないからだ。
大事に使い続けてきたクラシックMINIが、このプロジェクトによって生まれ変わり、英国では都市部の道路を走る際に必要となる環境税を支払うことなく、走行できるようになる。
古いものを大事にし、あらたにクルマをつくるという環境負荷を軽減できる電動化は「もったいない」の気持ちを持つ人なら、すとんと心に入ってくるはずだ。
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同様のプロジェクトに、日本のチンクエチェント博物館がプロデュースして、イタリアのスペシャリストが作り上げる、フィアット「500ev」がある。
これもニュートロン社製EVコンヴァージョン・キットをエンジンと換装するというもので、いつでもエンジンに戻すことができるというのがウリだ。
こうしたEVコンヴァージョン・キットが普及して、過去の名車を末永く乗り続けられるような日が、そう遠くない未来にやってくるのかもしれない。
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