VAGUE(ヴァーグ)

デキるビジネスワーカーは持っておきたい万年筆「エボナイト削り出し」に隠された裏テーマとは

機械彫刻とブラスト加工で表現された“3つの夜”

 日本を代表する老舗文具メーカー・セーラー万年筆から、「エボナイト彫刻万年筆」3種類が登場した。

 いずれも、万年筆の胴軸(ボディ)に最適とされるエボナイトと呼ばれる素材を1本1本ていねいに削り出し、機械彫刻やブラスト加工を施すことで「夜霞(よがすみ)」、「夜光(やこう)」、「夜風(よかぜ)」という“3つの夜”を表現。それぞれ見た目が美しい上に握り心地や感触がよく、快適に使える点も魅力的だ。

1日の終わりにペンを取り、夜を豊かに過ごすことを考えてつくられた「エボナイト彫刻万年筆」。ボディに最適な素材とされるエボナイトを1本1本ていねいに削り出し、機械彫刻やブラスト加工で3種の夜を表現した
1日の終わりにペンを取り、夜を豊かに過ごすことを考えてつくられた「エボナイト彫刻万年筆」。ボディに最適な素材とされるエボナイトを1本1本ていねいに削り出し、機械彫刻やブラスト加工で3種の夜を表現した

 エボナイト(ebonite)は光沢のある硬い合成ゴムの一種。天然ゴムに硫黄を配合し、加熱して硬化させたものだ。見た目が天然木材の黒檀(コクタン/ebony)に似ていることから、その名で呼ばれている。耐候性、耐薬品性、絶縁性に優れる上、加工しやすく、万年筆のボディに最適な素材とされている。

 一方、現在、万年筆の素材として主流となっているのは、プラスチックやアクリルなどの樹脂系素材。加工がより簡単かつ軽量で、価格も手ごろといった理由から多くのモデルに採用されている。そのためエボナイト製の万年筆は減少し、エボナイト素材を製造するメーカー自体も数が減っている。

 そんな希少な素材を使い、さらに機械彫刻とブラスト加工を施した新商品へのこだわりについて、セーラー万年筆の広報担当は次のように語る。

「『エボナイト彫刻万年筆』は、1日の終わりに使い心地のいいペンを取り、ユーザーの方が夜を豊かに過ごすシーンを想定してつくった万年筆です。

『夜霞』は、サンドブラストおよびビーズブラスト加工による、あら目のごつごつした質感が、夜の山すそで霞がたなびく様子を表現しています。一方、ダイヤカット彫刻を施した『夜光』は、夜道に光るクルマのバックライトを、もう1本の『夜風』に深彫りされた縦目は、人どおりの少なくなった夜に吹く風を、それぞれ表現しています。

 最適な素材を用いて3種の異なる夜を表現した機械彫刻やブラスト加工は、見た目が美しいのはもちろんのこと、握り具合のよさや心地よい感触も楽しめる逸品です」

 ちなみに3種の「エボナイト彫刻万年筆」には“それぞれの夜”をイメージした色味の異なるインクが付属するのも興味深い。

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