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「2億5000万円以上!!」スーパーカーブーム時代のヒーローだったフェラーリ「512BB」のリアルレーシングカーとは

ヒストリーのしっかりしたレーシングフェラーリの驚きのプライスとは

 1985年6月、イタリアのアレッサンドリアで開催された「フェラーリ・クラブ・イタリア」大会にて、このクラブの創立にも深く関与したヴィオラーティは、#35529のラストランを披露。そののち、サン・マリノ共和国にヴィオラーティが構えたフェラーリのミュージアム「コレッツィオーネ・マラネッロ・ロッソ」に23年間にわたって展示されることになる。

テールライトのカラーやウイングの形状など、レースに参戦するごとに仕様変更されて現在の姿になった(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
テールライトのカラーやウイングの形状など、レースに参戦するごとに仕様変更されて現在の姿になった(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

●2億5000万円を超えた落札価格は、むしろリーズナブル?

 そしてこの個体は、サン・マリノからほど近いリミニにあるヴィオラーティの新ミュージアムに移され、さらに7年間展示されたのち、2015年から現オーナーのコレクションに加わったとのことである。

 近年「フェラーリ・クラシケ」によるヒストリー認定プロセスを経て、この独創的な512BB/LMは、エンジン/トランスミッションともにマッチングナンバーであることが確認されているという。この事実を証明する「レッドブック」に加えて、フェラーリ本社から発行されたシャシやメカニカルパーツ類の請求書、ボディワークを担当した「カロッツェリア・オートスポーツ(Carrozzeria Auto Sport)」社の請求書などの歴史的なドキュメントや、歴史的な写真を収めたファイルも販売に際しては添付されるとのことだった。

 シリーズ総計で25台が製作されたといわれるBB/LMのなかでも、ワンオフの特異なボディを持つ1台。また歴史的な足跡でも申し分のない512BB/LMの1台として、シャシナンバー#35529は、コレクターズアイテムとしてのみならず、オーナーがクラシックカーレースを楽しむためにも好適な一台……、とアピールしつつ、RMサザビーズ欧州本社は225万−300万ユーロ(邦貨換算約2億9500万−3億9000万円)というエスティメートを提示した。

 超高額落札が見込まれるこの種のロットとしては珍しくリザーヴ(最低落札価格)の縛りなしでおこなわれた。ところが、この判断が裏目に出てしまったのか、オークションハウス側に支払われるコミッションを合わせても197万3750ユーロ、日本円に換算すれば約2億5900万円という、エスティメート下限を大幅に割り込むプライスでの落札となったのだ。

* * *

 2021年8月、同じRMサザビーズ社がアメリカで開催した「MONTLEY」オークションでは、アメリカのレースチーム「NART」所属の512BB/LMに300万−350万ドル(邦貨換算約3億2940万−3億8230万円)という高額のエスティメートを設定したものの、最低落札価格に届くことなく流札となっていた。

 例えば「ル・マン・クラシック」や「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」など、全世界の注目を浴びるビッグイベントにも「エリジブル(Eligible=参加資格がある)」なフェラーリと思えば、たとえ2億5000万円を超えるような高価格であっても、相対的にはリーズナブルにさえ感じられてしまうのだが、やはりマーケットの相場観というものは、絶えず変化しているということなのであろう。

Next1分で堪能するレーシングフェラーリのV12サウンドとは

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