2021年に人気が再燃しはじめた「オフロードに強いMTBの傑作」ベスト5
ジャンルの先頭を走るのは“フルサス”モデル
2021年、日本でも人気復活の気配が見え始めたMTB(マウンテンバイク)。世界的な自転車ブームをけん引する立役者の魅力が、再び日本でも認知されはじめたようだ。
MTBの特徴は、なんといっても凹凸ある悪路を走破できること。とくに上り下りの激しいトレイル(山道)の走破は、他ジャンルの自転車にはマネのできない芸当だ。
そんなMTBで近年、主流となっているのが、前後にサスペンションを装備した“フルサス”と呼ばれるカテゴリー。MTBのなかでも走破性の高さは抜群で、なかにはガケのような斜面を駆け下りたり、木の根や大きな石が露出しているような路面でもグイグイ登っていけるモデルも存在する。
ここからは人気再燃の兆しを見せるMTBの注目モデルをご紹介していこう。
●MTBの性格を決定づけるジオメトリーも調整可能
各社とも、工夫を凝らしたMTBを投入しているが、まず注目したいのは世界で初めてMTBを市販したスペシャライズドの「Stumpjumper EVO」。最近になってアルミフレームの「Stumpjumper EVO Alloy」も追加され、ユーザー層をさらに拡大している。
ヘッドアングルやBBハイト(地面からボトムブラケットの芯までの間隔)といったMTBの性格を決定づけるジオメトリーも調整が可能で、さまざまな路面やトレイルに対応。リアホイールを標準の29インチから27.5インチに交換できる点もポイントだ。
●トレイルを本気で楽しむライダーに人気
同じくフルサスタイプのMTBで、“LTS”と呼ばれる独自のサスペンションプラットフォームを採用するのが、GTの「SENSOR」シリーズ。
こちらもシーンやライディングスタイルに合わせて調整可能な機構が充実している。車体の動きをつかみやすい特性と相まって、トレイルを本気で楽しむライダーに人気が高い。
●エントリーに向くハードテイルモデル
エントリー層に人気なのが、フロントにのみサスペンションを装備する“ハードテイル”と呼ばれるカテゴリー。里山などを楽しむには十分な走破性を備え、価格がリーズナブルなのも人気の秘密だ。
このカテゴリーで幅広い支持を集めるのが、ジャイアントの「FATHOM 2」。16万5000円(消費税込、以下同)からという手の出しやすいモデルでありながら、しなやかなリア周りのフレーム構造で走破性は上々。29インチと27.5インチという2種類のホイール径に対応しているのも人気の理由だ。
●新たなユーザー層を掘り起こすe-MTB
近年、MTBの人気を引っ張っているカテゴリーが“e-MTB”と呼ばれる電動アシストつきのMTB。上りはアシストを活かして体力を温存し、下りを思う存分楽しめるのが人気の理由だ。体力に自信のない人でもトレイルを楽しめるため、MTBのユーザー層拡大にもひと役買っている。
こちらも人気の中心はフルサスモデルで、このカテゴリーを牽引するトレックの「Rail 9.7」は、カーボンフレームや前後のサスペンション、そしてBOSCH製のドライブユニットを搭載。上りも下りも攻めた走りが可能で、MTBの魅力を満喫できる。
●低価格を実現した日本ブランドのe-MTB
どうしても構造が複雑になる分、e-MTBは高価なモデルが多いが、国産e-BikeブランドのXROSSがリリースする「AX611」は、アルミ製フレームではカーボンフレーム級の軽さを実現しながら価格は41万9000円とかなりリーズナブル。ドライブユニットにシマノ製の「5080H」を採用する点も、低価格実現に貢献している。
「AX611」は国産ブランドのモデルだけあって、日本のトレイルに合った設計を採用。軽量な車体と相まってトレイル走行の醍醐味を味わえる。