VAGUE(ヴァーグ)

日本にビストロを広めた「ビストロ・ド・ラ・シテ」でアツアツの「エスカルゴ」をいただいてきました【新・味の名店】

日本にビストロを広めた名店の味は、一生に一度は味わっておきたい

 1973年に西麻布に開業した「ビストロ・ド・ラ・シテ」。1970年代の日本は、フレンチはホテル内のレストランでいただく格式の高いもので、一般人には、記念日やお祝いの席などでいただく特別な日の特別な料理であった。

 ご存知の方も多いだろうが、辞書にはビストロとは気軽に食事ができる小規模なレストラン、居酒屋のことと書いてあるが、同じ意味合いだとパリにはカフェ、ブラッスリーなども存在する。ではパリのビストロとは一体なんなのだろうか。

 ビストロは家庭料理や郷土料理が味わえる日本でいうところの定食屋のような店。だがそれもひと昔前の話でパリのビストロは進化していて、ミシュラン星付きのレストランのシェフが独立してビストロのシェフになるなど、ビストロの定義やビストロ料理が曖昧になってきている。

 そんな時代の流れの中で、創業当初から当時のパリのビストロ文化を日本に持ち込み、今も変わらぬ味を提供しているのが「ビストロ・ド・ラ・シテ(以下シテ)」なのだ。日本ではまだ珍しかったフランスの郷土料理を味わえ、パリにいるような気分に浸れるシテは食通や感度の高い人たちを魅了した。

1973年の創業当初から当時のパリのビストロ文化を日本に持ち込み、今も変わらぬ味を提供している「ビストロ・ド・ラ・シテ」(C)BISTROT DE LA CITÉ
1973年の創業当初から当時のパリのビストロ文化を日本に持ち込み、今も変わらぬ味を提供している「ビストロ・ド・ラ・シテ」(C)BISTROT DE LA CITÉ

●48年という歴史から生まれる味

 料理は、オーナーの関根進氏と当時のシェフがパリのビストロを食べ歩き、メニューを構成した。ラングドッグ地方の郷土料理であるカスレ、リヨン名物のオニオンスープをベースにしたパリのビストロでも定番のオニオングラタンスープ、ブルゴーニュ地方のエスカルゴなど、パリのビストロでも定番の料理が中心となっている。食材を時代のニーズに合わせて体によいものに変えつつも、基本のスタイルはほとんど変えずに提供している。

 創業48年ということもあり、親子4代で通っているという常連さんもいるそうで、「あの店のあの料理」を家族で共有できるのも今の時代にはなかなかないことだろう。

 創業当時から人気の「エスカルゴ」と「サラダ・シテ」をいただいた。エスカルゴは子どもの頃から食べていたが、最近はあまり見かけなくなり食べていなかったので、懐かしくてオーダーした。子どもの頃に食べたのは殻付きのエスカルゴでガーリックバターの味付けだったと記憶しているが、こちらのエスカルゴは、ガーリックバターに中身だけが浸るアヒージョのような感じでサーブされた。殻から取り出す手間が省けて食べやすく、自家製パンに乗せていただいた。

エスカルゴは、ガーリックバターに中身だけが浸るアヒージョのような感じでサーブされる(C)BISTROT DE LA CITÉ
エスカルゴは、ガーリックバターに中身だけが浸るアヒージョのような感じでサーブされる(C)BISTROT DE LA CITÉ

 サラダ・シテは、7種類の前菜が一皿に盛り付けられた長年愛されているメニューだ。以前はそれぞれの前菜が小皿に入り、好きなだけ食べられるというスタイルだったという。ところが、7種類の前菜を食べすぎてしまいメインのお料理が出てくるまでにお腹いっぱいになる人が続出したため、全てを一皿に盛って出すというスタイルに変えたのだという。

 このサラダ・シテは、葉物、豚肉のロース、レンズ豆のソテーなどフランスの家庭料理の定番の味が楽しめる。サラダというよりも前菜の盛り合わせのようだった。デザートは4、5種類から、数種類を選ぶことができるので、「モンブラン」と「六本木ロール」の2種盛りにした。

 六本木ロールはシテの姉妹店で3年前に閉店した六本木『オー・シザーブル』の人気のロールケーキで、フランボワーズとチョコレートのソースをスポンジで巻き込んだシンプルなもの。カットすると6の文字が現れる。そもそもフランス語でオー・シザーブルは六本木の意味で、このケーキは六本木の6を表現したのだとのこと。

 モンブランは栗の季節限定のデザートで、期待を裏切らない味。その他、ガトーバスクやホワイトチョコレートのケーキなどもあった。少量で数種類のデザートを食べたいという女性の気持ちに応えてくれるサービスが継続されているのは嬉しい。

 今はフレンチレストランもビストロも街に溢れているが、シテでビストロの真髄を味わってみてはいかがだろう。

 コロナ禍で海外に気軽に行けなくなりパリのビストロが恋しいという人、西麻布のシテに足を運んでみることをおすすめする。

●アクセス情報
ビストロ・ド・ラ・シテ
住所:東京都港区西麻布4-2-10
TEL:03-3406-5475
営業時間:ランチ/12:00−13:30、ディナー/17:30−21:00
 https://sixarbres33.com

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