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「スーパーカー界のビッグボス」はおよそ5550万円! 「カウンタックLP400S」は「ウルフ・カウンタック」の市販モデルだった

約5550万円で落札されたLP400Sとは?

 スーパーカー界の歴史的アイコン、ランボルギーニ「カウンタック」が生誕50周年を迎えた2021年は、年明け早々から全世界でアニヴァーサリー企画が送り出されたのに加えて、8月のアメリカ「ザ・クエイル・モータースポーツギャザリング」および「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」では、現代版である「カウンタックLPI800-4」も大々的に復活デビュー。

 さらに10月にイタリアで開催された「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」では、失われた「LP500」プロトティーポを復刻したワンオフ車両も発表されるなど、まさにカウンタックに明け暮れた1年となったようだ。

 当然のことながらメディア露出も非常に多く、それが国際マーケットの趨勢にも影響を与えることになったのか否かは、ちょっと興味深いところであろう。

 そこで今回は、さる11月19日、RMサザビーズ社が仏・ポールリカール・サーキットを会場としておこなった「ギカス・コレクション(Guikas Collection)」オークションに出品された、1981年型「カウンタックLP400S」を俎上に乗せ、2021年末におけるカウンタックの市況を探ってみることにした。

ゴールドで「countach S」のレターロゴが装着されている。テールレンズも当時まま美しい状態
ゴールドで「countach S」のレターロゴが装着されている。テールレンズも当時まま美しい状態

●ウルフカウンタックの市販モデル版「LP400S」

 1978年にデビューしたランボルギーニ「カウンタックLP400S」は、カウンタックとしては第2世代にあたるモデル。

 かつてはカナダの石油王にしてF1チームオーナーとして名をはせたウォルター・ウルフ氏のために、ランボルギーニ社で製作されたスペシャルカー、いわゆる「ウルフ・カウンタック」で実験されたボディワークを応用したものである。

 新デザインのマグネシウム製ホイールに取り付けられた、前:205/50VR15、後:345/35VR15という巨大なピレリ「P7」タイヤと、それを収めるオーバーフェンダーとフロントスポイラーで武装。さらにオプションとして、のちにカウンタックの特徴のひとつになるリアウイングを備えることも可能とされたが、その一方でカウンタックの開祖「LP400」を特徴づけていた「ペリスコピオ」と呼ばれるルーフのくぼみは廃された。

 1982年までの約4年間に、わずか237台が生産されたといわれるLP400Sながら、実はシリーズ1からシリーズ3まで細分化されるという。

 今回の「Guikas Collection」オークションに出品された1981年型、シャーシナンバー「#1121296」は、シリーズ2として105台が製作されたうちの1台とのことである。

 シリーズ2は、シリーズ1ではOZ社製マグネシウム、あるいは「ブラーヴォ」スタイルだったアロイホイールが、同じOZ社製でもアルミ合金製とされた。

 また、サスペンションはシリーズ1から継承された低めのセットアップ。その一方で、シリーズ3ではサスペンションの地上高が若干高められたほか、ルーフ高も3cmほどアップしていることから、LP400Sシリーズ2は、カウンタックとしては好ましい「ローボディ」のファイナルバージョンとして、コアなファンから愛されているという。

●50周年を迎えた「カウンタック」は市況をボトムアップ

 今回の出品車両「#1121296」は、現在と同じく赤のボディにベージュの本革インテリアの組み合わせで、スイスの顧客に新車としてデリバリーされた。

 オークション出品者であるジャン・ギカス氏を含めて、これまでのオーナーは4名のみ。初代オーナーの依頼で、スイスのランボルギーニ・スペシャリストによってエンジンなどに一定のリペアは施されているものの、現在でもボディ/内装を含めてオリジナルのまま、良好なコンディションを保っているという。

 3代目オーナーは、2005年にこのLP400Sを入手し、そののち10年間にわたって約5000kmのマイレージを重ねるかたわら、ランボルギーニ社オフィシャルのディストリビューターによる定期的なメンテナンスを受けてきた。

 そして2015年に、この時もRMサザビーズ社を介してギカス氏が4番目のオーナーとなったのちにも、慎重に維持されてきたとのこと。オークション出品に際して添付されるサービス履歴ファイルにも、エンジンの修理およびメンテナンス作業の請求書のコピーが含まれている。

前:205/50VR15、後:345/35VR15という巨大なピレリ「P7」タイヤと、それを収めるオーバーフェンダーとフロントスポイラーで武装した「カウンタックLP400S」
前:205/50VR15、後:345/35VR15という巨大なピレリ「P7」タイヤと、それを収めるオーバーフェンダーとフロントスポイラーで武装した「カウンタックLP400S」

 LP400Sは現在に至るまで、レーシーで魅力的な形状と未来的なデザインセンスの集合体であるカウンタックのDNAを切り拓いたモデルと考えられている。また、市販版カウンタックの開祖であるLP400の特徴を受け継ぎつつも、同時に「ウルフ・カウンタック」で得られた知見も投入されていることから、コレクターの間では望ましいカウンタックのひとつと認識されている。

 ただ、正統なオリジナル車両で良いコンディションの個体を見つけるのは容易ではなく、このカウンタックLP400Sシリーズ2「#1121296」は注目すべき1台というアピールを添えて、RMサザビーズ社は30万−40万ユーロのエスティメート(推定落札価格)を設定した。

 そしてリザーヴ(最低落札価格)なし、つまり売り切りでおこなわれた11月19日の競売では43万2500ユーロ、日本円に換算すると約5550万円で落札されることになったのだ。

 クラシックカー/コレクターズカーの国際市況がピークを迎えた2010年代中盤ならば、LP400Sは6000−7000万円で取り引きされる事例もあったかと記憶しているが、ここ数年で市場が鎮静化したことを思えば、今回の落札価格はなかなかのもの。

 あくまで私見ながら、やはり「50周年」の効果は決して小さくはなかったと感じたのである。

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Gallery【画像】スーパーカー少年の心を鷲掴みにした「カウンタック」の正統スタイルとは?(29枚)

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