VAGUE(ヴァーグ)

「80年代コラボがエモい!」アストンとザガートのボクシースタイルに再注目です

Mr.ビーンも愛用! 古き良きアストンマーティンV8のザガート版とは?

 1985年、アストンマーティンとザガートは1959年の「DB4GTザガート」以来久方ぶりとなる本物の2シータースポーツを、正規のコラボ事業として開発することで合意に達した。ベースとなるのは、当時のアストン唯一の生産車「V8」にハイチューンキット「Xパック」を組み込んだ「V8ヴァンテージ」。その全長を17cm短縮し、170kgの軽量化を図った。

クーペとヴォランテでは、ヘッドライトなどフロント周りのデザインが大きく異る(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
クーペとヴォランテでは、ヘッドライトなどフロント周りのデザインが大きく異る(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

 1985年、アストンマーティンとザガートは1959年の「DB4GTザガート」以来久方ぶりとなる本物の2シータースポーツを、正規のコラボ事業として開発することで合意に達した。ベースとなるのは、当時のアストン唯一の生産車「V8」にハイチューンキット「Xパック」を組み込んだ「V8ヴァンテージ」。その全長を17cm短縮し、170kgの軽量化を図った。

 そしてボディデザインを担当したのは、DB4GTザガートの創造主であるエルコーレ・スパーダがザガートを去ったのち、1960年代後半から同社のチーフスタイリストの地位にあったジュゼッペ・ミッティーノである。彼はDB4GTザガートからインスピレーションを得て、1980年代のモダンなテイストに昇華していた。

「Mr.ビーン」ことローワン・アトキンソン卿が、レースでも愛用したことで知られる「V8ヴァンテージ・ザガート」はわずか52台が生産された。また、「ヴァンテージ」ではない「V8」をベースとするコンバーチブル版「V8ヴォランテ・ザガート」も37台のみが製作されたのだが、ともにその希少性ゆえに国際オークションに出品される機会は、決して多くはない。

 今回は、クラシックカー/コレクターズカーのオークション業界における世界最大手、RMサザビーズが、2021年11月6日にリアル対面型/オンライン併催でおこなったオークション「LONDON」に同時出品した、2台の「V8ザガート」のオークションレビューをお届けすることしよう。

同じ1980年代の「オーテック ザガート ステルビオ」ほど尖っていないが、共通のエッセンスが感じられる(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
同じ1980年代の「オーテック ザガート ステルビオ」ほど尖っていないが、共通のエッセンスが感じられる(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

●1987 Aston Martin V8 Vantage Zagato Coupé

 アストンマーティンV8ヴァンテージ・ザガートは、1986年のジュネーヴ・ショーにて世界初公開。最初の3台の完成車は、アストンマーティン社のブースに展示された。

 この発表に際しては、50台の限定生産をおこなうことも公表。そのうちの28台が右ハンドルステアリングとマニュアルギアボックスで作られることになった。

 正式発売前の段階で小売価格が7万ポンドから8万7000ポンドに値上げしたにもかかわらず、50人の購入希望者は臆することなく、実は1985年8月の段階で1万5000ポンドのデポジットを支払っていたという。

 この価格高騰の要因となったのは、複雑な生産プロセスにほかならない。アストンマーティンのニューポート・パグネル旧工場から、ローリングシャシ状態でミラノのザガートに送られ、ここでボディの架装をおこなう。また、完成検査のためにイギリスに送り返される前にザガートにおいてインテリアも設えられ、そののちデリバリーの際にもザガートのスタッフが英国に派遣されたとのことである。

 こうして正式リリースに至ったV8ヴァンテージ・ザガートは、ツインチョーク式ウェーバー社製キャブレターを搭載した5.3リッターV8エンジンを搭載。408bhp(432ps)を発生し、ZF社製5速MTが標準指定。ごく少数ながら、米クライスラー製トルクフライト3速ATを組み合わせた個体も存在する。

 今回「LONDON」オークションに出品されたV8ヴァンテージ・ザガート・クーペ(シャシNo.#20049)は、右ハンドル+MT仕様の1台。ボディを「グラディエーターレッド」で仕上げられ、赤いパイピングをあしらったクリーム色のレザーシートの組み合わせ。カーペットはブラウンで、こちらにもシートと同色の革製パイピングが施されている。

 1987年11月12日にニューポート・パグネル工場から「ストラットン・モーター・カンパニー」にデリバリーされたのだが、同社の顧客に納車されることなくストラットン社のガレージに保管。数年後にようやく個人コレクターのもとに収められた。

新車のまま大切に保管されていたことがよく分かるコックピット(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
新車のまま大切に保管されていたことがよく分かるコックピット(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

 その後の所有者は、最初のオーナーを合わせてもふたりのみ。しかもアストンマーティン正規のエンジニアの監修のもと、個人のワークショップで入念なメンテナンスを施しつつ、ドライストレージ状態のまま車歴を重ねたという。

 計3ページにわたる整備記録簿によると、このV8ヴァンテージ・ザガートは毎年のようにサービスを受け、現在でも完調であることも示されている。また2018年10月31日には英国内の車検(MOT)を通過し、勧告や欠陥がなかったことも判明している。

 このオークション出品の段階でオドメーターが示す走行距離は、わずか396マイル(約630km)。まだ慣らし運転さえ終わっていない、事実上の新車状態にあるこのV8ヴァンテージ・ザガートに、RMサザビーズ英国本社は30万−35万ポンドのエスティメートを設定した。

 ところが、11月6日の競売では入札が振るわず、残念ながら「No Sale(流札)」。現在では31万5000ポンド、日本円に換算すると約4740万円で継続販売となっているようだ。

Next攻めたデザインはオープンの方だった!?
Gallery【画像】80年代のアストンとザガートのコラボモデルが超エモい!(35枚)

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