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「クルマが空を飛ぶ」誕生60周年を記念してルノー「キャトル」がドローンになりました

「60年後はクルマが空を飛ぶ!?」ひと味違うルノーの祝い方

 1898年に創業したルノーは、先端技術を積極的に採り入れることで知られるメーカーだ。フロントエンジン/リアドライブの原形をつくったのもルノーだし、陸軍大国であったフランスを技術の側面から支えていたのもルノーだ。

 第2次世界大戦後には国営化されたが、「4CV」の大ヒットで立ち直り、1961年にはFFレイアウトを採用した「4(カトル)」を発売。1992年に生産が終了するまで、830万台以上をつくり続けていた。

 そんなルノーが、カトル誕生から60周年を記念して、カトルをモチーフとした新しいモビリティのプロトタイプを開発した。「AIR 4」がそれである。

  • ルノー「カトル」誕生60周年を記念して製作された空飛ぶコンセプトモデル

●自動車のアイコンは空でも通用する

 このAIR 4は、カーボンファイバーをメインの素材としてつくられたマルチコプターだ。タイヤのかわりとして2翅のプロペラを4組、車体のコーナー部に搭載している。ボディはフレームの中央にセットされていて、ドライバーはフロントヒンジ付きのシェルを持ち上げて乗り込むようになっている。

 プロペラを駆動するための原動機はモーターで、2万2000mAhという容量のリチウムポリマー電池を搭載している。総出力は約9万mAhで水平方向では26m/s(93.6km/h)という最高速度で移動させることができる。飛行中の傾斜は45°、最大傾斜は70°までが可能。離陸速度14m/sで高度700mまで飛行できるが、安全上の理由から4m/sに制限されており、着陸速度は3m/sに設定されている。ひとつのプロペラの垂直方向の推力は95kgなので、トータルで380kgとなる。

「私は自分の人生を、モビリティへの情熱に捧げ、移動する世界のあらゆる側面を探求し続けてきました」と語るのは、ルノーとともにこのAIR 4を開発した、TheArsenaleの創設者兼CEOである、パトリス・ミーニャン氏だ。

「25年間の未来志向の研究を経て、私たちは、自動車文化のアイコンは、地上であれ空中であれ、永遠であると信じています。60年もの間、カトルは普通の人々によって運転され、特別な存在となっています。シンプルで、実用的で、便利で、レトロであると同時にモダンで、冒険を象徴するクルマです。ほとんどのドライバーがいうように、このクルマがあればいつもと違う旅ができ、冒険をすることができます。AIR4 by TheArsenaleによって、カトルはこれまでにない大きな冒険をする準備ができています」

  • タイヤのかわりに2翅のプロペラを4組、車体のコーナー部に搭載

 2021年11月29日から年末まで、このAIR 4はパリ・シャンゼリゼ通りにあるアトリエ・ルノーで一般公開され、その後2022年には、マイアミやニューヨーク、マカオでの公開が予定されている。

「カトルが誕生してから60周年となる2021年、その締めくくりになにか型破りなものをつくりたいと考えていました。アルセナーレとのコラボレーションによって生まれたAIR 4は、60年後の姿を示唆するアイコンなのです」と、ルノーのブランド・グローバル・マーケティング・ディレクターのアルノー・ペローニ氏は語っている。

 空中を未来の道路として捉えたこのルノーのショーカーは、新時代のカトルのひとつの姿を見せてくれるものだ。プロペラのピッチは固定式なのであくまで想像だが、動きのコントロールはドローンと同じように、プロペラの回転数を変えることでおこなうはず。飛んでいる姿を早く見てみたいものだ。

Gallery 【画像】まるで巨大なドローンのようなルノー「AIR 4」とは(8枚)
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