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巡航最高速度324キロ! アルピナ新型「B8 グランクーペ」の凄みとは【東京−京都弾丸インプレッション】

GTカーはアルピナの原点にして頂点

 史上もっとも好きなBMWを挙げろといわれたら、ためらうことなく6シリーズを挙げる。個人的にも2度、買って乗った。そのうち1台は「633CSi」だったけれど、2台目はなんと至宝の「B7Sターボクーペ」だった。世界限定30台というから、レアなアルピナのなかでもさらにレア。買って、直して、しばらく楽しんで、同じ値段で売ってしまった。

 先日、本稿の主役であるB8のジャパンプレミアにて、筆者が所有していた個体と同じアルピナグリーンで、本国レストアを終えたばかりという美しいB7Sターボが会場入り口脇に展示されてあるのを見て、さらに後悔が増した。なんとかっこいいクルマであったことか!(そして今では数千万円の価値があるらしい)

 B7シリーズはアルピナにとっても歴史的に重要なモデルだ。モータースポーツ活動で名を上げ、メーカーからの信頼を勝ち得たアルピナが、そのワークス的なレース活動を突然休止したのが1977年のこと。翌年以降、レースで強いブランドというイメージを活用したコンプリートカービジネスを始め、その第一弾として発表したのがB7シリーズだったのだ。

 さらにその翌年の1979年には熱心なエンスージアストの手により、初めて日本へB7ターボ(E21)が上陸する。そのエンスージアストこそがニコ・ローレケ氏であり、氏がB7の驚異的なパフォーマンスに惚れ込んで1982年に日本で始めたビジネスがニコル・オートモビルズであった。

 そんなB7ターボの現代版というべきモデルがBMWアルピナ「B8グランクーペ・アルラット」である。

  • 日本では2021年9月に発売された「B8グランクーペ」。価格は2557万円となっており、右ハンドル仕様は追加で45万円が必要となる(C)タナカヒデヒロ

●巡航最高速度324km/hの実力

 ベースは8シリーズグランクーペ(G16)だ。8シリーズ(G14)ベースのいわゆる4ドアクーペ。アルピナの定法に則って高性能かつ上質なグラントゥーリズモへと仕立てあげられた。

 まずはパワートレイン周りに注目したい。4.4リッターV8のツインターボ、否、アルピナの流儀に則っていうところの“ビ・ターボ”エンジンは、BMW製N63ユニットをベースとしつつ、最高出力は同じエンジンを先に積んだ「B5」および「B7」用を大きく上回る621psとした。これはBMW M社製S63ユニットの「M8」用(600ps)を上回り、「M8コンペティション」用(625ps)に迫るものだ。最大トルクは800Nmで2000回転から発揮される。これにアルピナ・スウィッチ・トロニック付きの専用セット8速スポーツオートマチックとリアLSD付き4WDシステムを組み合わせることにより、0−100km/h加速はわずかに3.4秒、巡航最高速度324km/hと、スーパーカー級のパフォーマンスを獲得した。

 アルピナといえば足回りのチューニングにも注目したい。特筆すべきはフロントアクスルで、ハイドロマウント付きアクスルストラットに独自セッティングのアイバッハ社製スプリングを組み込んだ。そして足元には21インチのアルピナ鍛造アロイホイールにピレリによる専用の21インチタイヤがおごられている。フロントホイールの間からはブルーペイントされた強力なブレンボ製4ピストンキャリパーが顔を覗かせている。

Nextいかなる速度域でも感じられる抜群の安定性
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