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【再試乗】「エアロダイナミクスで走るクルマ」マクラーレン「720Sスパイダー」の魅力いまだ衰えず

4年経っても色褪せない斬新なスタイル

 マクラーレンから、コアモデルともいえる「720S」が発表されたのは2017年のことだから、いわゆる新車攻勢の激しいスーパースポーツのなかにあって、720Sはすでに古参の部類に入るのかもしれない。

 しかし実際に見る720Sには、特徴的なヘッドライトまわりの造形に始まり、エアの流れを可視化したかの如きデザインなど、いまだに斬新な美しさを感じることができる。

 今回試乗したのは720Sのなかでもグローバルセールスでは半数以上を占めるというスパイダーだ。リトラクタブル・ハードトップを採用し、簡単なスイッチ操作でふたつのスタイルを楽しめるは、やはり大きな魅力といえる。

  • マクラーレンは「F1」時代からすべての市販モデルにディへドラルドアを採用している

●オープン化でのデメリットはゼロ!?

「720Sスパイダー」で驚くべきは、オープン化に伴ってマクラーレンがボディ剛性を高めるための補強を一切おこなっていないということだろう。

 720Sに使用される基本構造体のモノコックタブ「モノケージII」はもちろんオープン化に伴ってデザインに変更を受け、正確には「モノケージII-S」と呼ばれるようになった。このほか前後フェンダーとドアのデザイン変更、リアデッキの高さを下げたことなどがオープン化にあたって施された数少ないメニューだ。

 ちなみにクローズからオープンへとスタイルを変化させるための時間はわずかに11秒。そもそもスーパースポーツのなかでは前後左右の視界がよい720Sだが、オープン時の開放感はさらに魅力的なポイントになる。

 720Sには乗降性を向上させるため、コンフォート・エントリー機能が採用されているため、サイドシルの高さをさほど気にすることなく、滑り込むようにドライバーズシートへと身を収めることができる。

 スイッチ類のデザインは先代のスーパーシリーズから大きく変わることはなく、センターコンソールにあるアクティブ・スイッチを押せば、パワートレインとシャシの各々で、「コンフォート」、「スポーツ」、「トラック」の各モードの選択が可能だ。

 ただし、一般道を走り出した瞬間から、モノコックだけでなくダブルウイッシュボーン形式の前後サスペンションの油圧を協調制御するPCCII(プロアクティブシャシーコントロールII)もかなりの硬さを感じさせるので、ストリートではやはり「コンフォート」を選ぶのがベストであろう。

  • 走ることに集中するための仕事場といいたくなるコックピット

 低中速域で硬く感じていた乗り心地は、速度が高まるにつれて徐々にフラットなものになってくる。リアミッドに搭載されるエンジンは、車名のとおり720ps/7500rpmの最高出力と、770Nm/5500rpmの最大トルクを発揮する4リッターV型8気筒ツインターボだ。

 驚くべきはその速さそのものよりも、加速の息の長さだ。圧巻なのはエンジンスピードが4000rpmに迫った頃からの加速で、この頃になると720Sの大きな特長である優秀なエアロダイナミクスの効果が十分に感じられるようになる。720Sは現代のレーシングカーのように、エアロダイアミクスで走るクルマと表現してもよいだろう。

 ハンドリングの素晴らしさも、当然のことながら720Sの大きな魅力だ。とりわけ印象的なのはステアリングの正確さで、動きも実にスムーズだ。720SにはさらにVDC(バリアブル・ドリフト・コントロール)と呼ばれる機能が搭載されており、ドリフトアングルをドライバーが設定できる。

 要するにESPが許容するリアのスリップアングルを設定できるのだが、一般路上でそれを試すのはあまりにもリスキーな行為であるので、今回はセンターモニターでその設定をおこなうためのビジュアルを確認するにとどめておいた。

 マクラーレンとしては、スーパーシリーズとして初のフルモデルチェンジを受けて誕生した720S。それを生み出すための開発陣のプレッシャーは相当なものだっただろう。

 しかしその結果は、美しいデザインにも、圧倒的なパフォーマンスにも、そして新たに採用されたビークルダイナミクスの装備にも見事に表れている。

 確かにさらに走りに特化した「ロングテール」の称号を与えられた「765LT」も魅力的だが、日常で乗るとしたら、まだまだ720Sの魅力は衰えていないことを再確認させらた再試乗であった。

●Maclaren 720S
マクラーレン720S
・車両価格(消費税込):3859万円
・全長:4545mm
・全幅:1930mm
・全高:1195mm
・ホイールベース:2670mm
・車両重量:1470kg
・エンジン形式:V型8気筒DOHCツインスクロールターボチャージャー
・排気量:3994cc
・エンジン配置:リアミッド縦置き
・駆動方式:後輪駆動
・変速機:7速AT
・最高出力:720ps/7500rpm
・最大トルク:770Nm/5500rpm
・0-100km/h:2.9秒
・最高速度:341km/h
・公称燃費(WLTC/Combined):8.2km/L
・ラゲッジ容量:150L(フロント)
・サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン式、(後)ダブルウィッシュボーン式
・タイヤ:(前)245/35R19、(後)305/20R20
・ホイール:(前)9.0Jx19、(後)11.0Jx20

Gallery【画像】色褪せない「720S」のデザインの力とは(22枚)

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