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コレクションやギフトにも! 日本の伝統技術が息づいた漆塗り万年筆シリーズのこだわりとは

日本の美の原点である“漆”を万年筆にまとわせる

 セーラー万年筆の「伝統漆芸 麗(れい) 漆塗り万年筆」は、漆を塗り上げて装飾する伝統漆芸を用いた筆記具シリーズだ。2019年に第1弾として「輪島 曙塗」、「輪島 溜塗」、「津軽錆塗」を発売したのにつづき、今回の第2弾では「岩手 樹水塗(きのしるぬり)」、「青森 流紋塗」、「石川 創作加賀塗」の3種類をラインナップする。

 全国各地の漆芸品を製品化するというコンセプトで開発されている同シリーズは、いずれも漆芸作家に漆塗の製作を依頼。それぞれの作家が、伝統的な漆芸手法に独自の感性と技術を加えた創作漆芸品に仕上げている点が特徴だ。単に伝統を守るだけでなく、新たなアイデアが盛り込まれている。

  • 漆塗の製作を依頼された各地の作家が、伝統的な漆芸手法に独自の感性と技術を加えることで創作漆芸品に仕上げたセーラー万年筆の「伝統漆芸 麗 漆塗り万年筆」シリーズ

 セーラー万年筆の製品開発本部・木村明子さんは、「漆器の価値は、奈良や平安時代から貴族社会の富の象徴、または神仏世界具現の麗美なものとして確立されたといわれています」と、漆芸の歴史をひも解く。

「漆という言葉の語源とされているのは、この上なく美しいものを意味する“麗(うるわし)”です。奈良や平安という日本の美の概念が芽生え栄えた時代、漆が“うるわしさ”と結びつけられたのは自然なことといえるでしょう。

 そんな日本の美のルーツのひとつであり、現代まで伝え磨かれてきた各地の漆芸で万年筆をつくりたい。それと同時に、誇りである日本の漆芸を海外の人にも知ってもらいたい。そんな思いから『伝統漆芸 麗』シリーズは生まれました」

●伝統を進化させた創作漆芸作家による作品

 ここからは、第2弾の3モデルについて見ていこう。

「岩手 樹水塗(きのしるぬり)」は、岩手県で漆工技術を学んだ創作漆芸作家・斎藤奈津美さんの手によるもの。同県を含む北東北一帯は、縄文時代から漆の木が多く自生し、透明度と発色に優れた上質な生漆を産出。同時に、硬度に優れた堅牢さが特徴の、当地の安比塗を継承した多くの漆塗師や漆芸家を、江戸時代以降、とくに多く輩出してきた。

 安比塗が硬度に優れるのは、元の漆の特性とともに、下地から上塗りまで重ねる漆下地を施しているため。今回の樹水塗は、安比塗における重ね塗りに創意工夫した磨き上げを加えた手法。優美な発色と、みずかがみという独自の透かし技法が特徴だ。

 つづいて「青森 流紋塗」は、津軽塗を学んだ漆芸家・島守宏和さんの作品。津軽塗には、幾重にも塗り重ねた漆を研ぎ出して模様を表す“研ぎ出し変わり塗り”という技法がある。この漆の重ね塗りに、紙漉きの墨流し技法と水彩画の吹き流し技法から、漆の工法に取り入れられて生まれた流紋塗をかけ合わせることで、特殊な風合いが生み出された。

 そして、万年筆として仕上げられた「石川 創作加賀塗」は、加賀市に在住し、山中塗(加賀塗)を習得した漆芸作家・小林已眞さんによる作品。創作加賀塗は和歌山県の根来寺に由来する根来塗を創意工夫したもので、下塗りに黒漆を、上塗りに朱塗を施し、朱が減っても下地の黒漆がすれたキズのように見える、すれ摩耗という表情が美しい。仕上げの国産漆の磨き上げがより豊かな風合いを感じさせる1本だ。

 いずれの万年筆にも、着物をほどいた生地を裁断し、ひとつひとつ手づくりされた“一本袋”が付属する。着物からとった上質な正絹の手触りが心地いい。また、一本袋を縛るひもには真田紐を、そのひもを留める爪は、すす竹を削り出してつくられている。

 さらにそれぞれの万年筆は、漆製品の保管にもっとも適した素材といわれる桐箱に収められる。ちなみに、万年筆本体はもちろん、付属の一本袋や桐箱まで、すべて国産品となっている。

 セーラー万年筆の「伝統漆芸 麗」シリーズは、日本の伝統工芸が進化しつづけていることを実感できる、逸品と呼べる出来栄え。これに、しなやかな書き心地で定評のある、同社が誇る21金大型ペン先を組み合わせている。デジタル技術に埋もれて生活しているいまだからこそ、ひとつひとつが人の手によってつくられた万年筆を手にすると、いつもとは違う言葉で文章をつづれそうだ。

●製品仕様
・価格:各13万2000円(消費税込)
・サイズ:径17×151mm
・ペン先:21 金、中字、大型
・蓋・胴の素材:黒檀、青森流紋塗
・大先の素材:PMMA樹脂(ブラック)
・専用桐箱のサイズ:W156×D201×H49mm

Gallery日本の伝統工芸の進化を伝えるセーラー万年筆「伝統漆芸 麗」シリーズを【画像】で見る(6枚)

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