VAGUE(ヴァーグ)

日本一ラグジュアリーなショップが考える「ブランドとはなに?」【ブランドの旅】

はじめまして。さっそくですが、「ブランド」って何でしょう?

 高級ブランド、有名ブランド、老舗ブランド……。私達の周りには、ブランドという言葉が溢れています。クルマ然り、時計然り、ファッション然り。

 ブランドとは、その本質とは、何なのでしょうか?

  • フランスが誇る最高峰メンズブランドZILLI(ジリー)。裏地ひとつとっても芸術品のような美しさです

 皆様はじめまして。

 銀座でセレクトショップを営んでおります中村響子と申します。父の代から35年続くメンズファッション専門の店の2代目として勤めております。

 イタリアやフランスなどに足を運び、品質の高さに特化したアイテムを長年厳選してきた結果、有り難くも様々なメディアから「日本で一番ラグジュアリーな品揃えの店」としてご紹介頂くようになりました。30年間店を構えていた熊本から、大地震をきっかけに一念発起し銀座へやって来て5年が経ちます。

 この度、「クオリティの高さを追求する作り手と、それを求めるお客様、両方の現場に立ち続けている中村さんの言葉を綴って欲しい」とお声かけを頂き、こうして貴重な誌面を頂戴することとなりました。

 わたくしはメンズファッション業界に生きる父の背中を追って、アパレル業界に入りました。入社時は今のようにネット環境はなく、通信販売もテレビショッピングやカタログショッピングでしか見かけません。何かを買い求めるためには主に店舗に行くしかありませんでした。

 そんな時代のアパレル業界は、店それぞれに活気と個性があり、「ここに行かねば買えない」もの、「このオーナーだから仕入れている」ものが多かったように感じます。今でこそネットで簡単に、多くの、しかも最新で精度の高い情報を拾い集めることができますが、当時はそうしたことも雑誌や店舗で知ることが主流。店とお客様の信頼関係ありきの時代でした。

●欧州に取引をしに行くようになって25年

 35年前、父が独立して立ち上げた店にも、有名なインポートブランドの商品が所狭しと並びました。開業当初は日本にある代理店から商品を仕入れていましたが、バブル崩壊やリーマンショックなど社会情勢が激変するなか、「世界にはまだ見ぬ名品があるのでは」と感じるようになり、ヨーロッパに定期的に出かけるようになりました。

 私も入社後からすぐに父に連れられ出張へ。かれこれ25年、ヨーロッパに通い続けています。いざ物作りの裏側に回ってみると、「あの有名なブランドも、あの老舗のブランドも、実は同じ下請けの工場が作っていた」というケースが少なくない、という現実に直面しました。

 もちろん、専業ブランドとして一貫して自社生産を続けている会社も多くありますが、皆様が思っておられるほどの件数ではないのが実情かと。

 個性的なあのブランドのスーツも、伝統的なあのブランドのスーツも、どちらも同じファクトリーで作られているのだ、と知った時、「ブランドって、何なのだろう?」という疑問が浮かびました。

Next紆余曲折あって辿り着いたブランドの本質とは
Gallery【画像】「銀座HIKO」代表中村響子さんのブランドを知るヒント(12枚)

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