VAGUE(ヴァーグ)

公道走行可能!? 6000万円オーバーで手に入るオフロード最強の乗り物とは

戦車好きにはたまらない圧倒的無骨さ

 アメリカの老舗オークションハウス「Hemmings」のホームページを閲覧していたら、興味深い“乗り物”に出くわした。ホウ&ホウ社が製作している“パーソナル・レクリエーショナル戦車”だ。いわゆるATV(全地形対応車)の類で、戦車譲りの超ド級悪路走破性を有した乗り物である。

 ホウ&ホウ社は軍事用や消防・警察用に無人遠隔操作車両を作るメーカーで、2019年にアメリカの大手軍事メーカー「テキストロン・システムズ」傘下に収まっている。オークションに出品されているのは「リップソーEV3-F4」という市販モデル。アメリカでは民間人が戦車を所有することは禁じられている。だからこそ、クローラー(無限軌道)を備えたリップソーEV3-F4は、戦車好きにはたまらない乗り物なのだ。

 州ごとに規則が異なるようだが、リップソーEV3-F4は一般道だけなら走行OKなところもあるようだ。いずれにせよ、購入できる人は、このような乗り物を自由に走らせることができる広大な敷地を所有しているに違いない。スケールの大きい話だ。

 実は初代リップソーの「リップソーEV1」は、映画『マッドマックス怒りのデス・ロード』に“The Peacemaker”という車両として登場していた。ボディこそ1970年代のシボレー ヴァリアント・チャージャーを纏っていたが、中身はリップソーEV1を改造したものだった。

  • 親会社のテキストロン・システムズいわく、このリップソーEV3-F4は「世界最速のデュアルトラック車」だという(C)Hemmings

 リップソーEV3-F4はデュラマックス製(GMといすゞの合弁企業)6.6リッターV8ターボディーゼルエンジンを搭載し、アリソン製ヘビーデューティ用5速トランスミッションを組み合わせている。エンジンはカリフォルニア州のパシフィック・パフォーマンス・エンジニアリングというチューナーでパワーアップが施され、最高出力588kW(800ps)、最大トルク2034Nmを誇り、最高速は60マイル(96km/h)に達するという。

 96km/hと聞くと、さほど速くないように思えてしまうだろうが、機動力に定評のある陸上自衛隊の最新主力戦車「10式戦車」の最高速度が70km/hと聞けば、リップソーEV3-F4の速さが伝わるだろう。ちなみに燃料タンクは64ガロン(242リットル)。この車両に燃費の良し悪しもないだろうが、これだけの燃料タンクが必要ということだ。

 コックピット部分にはエアサスペンションを備え、悪路走行中でも快適な室内空間を提供するのだという。ちなみに乗り降りする際は、両側に設けられたガルウィングドアを開閉する。フロントウインドウは熱線入り、高照度LEDは360度を照らし、スタビライザー付き赤外線サーモグラフィ・カメラ、リア・ウインチ、カーゴ用ウインチ、防水カーゴ、荷物用ベッドなどを備えている。

 フロントシートはレカロ製でクーラー/ヒーター付き、前後席ともにレザーシートを採用。また、ボーズ製航空機用インターコム・システムで車内の会話は万全だ。ナビゲーションシステムや各種ゲージはガーミン製12インチタッチスクリーンに収められ、このタッチスクリーンは、ナイトビジョン・ゴーグル用のフィルターにも対応している。

 無限軌道は堅牢なゴム製でキング社製特注サスペンションを装備。これによりトラクションを最大限確保し急斜面、泥、砂、雪での走破性を確保している。クローラーを駆動するドライブホイールやアイドルホイールは超高分子量ポリエチレン製で高い耐衝撃性と耐摩耗性を誇るという。

●希望落札価格は約6600万円

 当該仕様で生産されたリップソーEV3-F4は6台のみ。予備のクローラー・トラック、スペアパーツも付属する。希望落札価格は57万5000ドルで、11月12日時点では52万5000ドル(邦貨換算約6000万円)まで入札されていた。12気筒フェラーリやランボルギーニの新車にオプションをたくさんオーダーしたような価格で、ここまでの悪路走破性を得られるのは、お買い得に感じる。

 2020年式で走行距離はわずか98マイル(156.8km)に過ぎず、ほぼ新車といっていいくらいだ。前オーナーは、走らせる場所に困ったのだろうか?

 なお、ホウ&ホウ社ではリップソーEV3-F4のコックピット用エアサスペンションが省かれた、「リップソーF4」という現行モデルを新車販売している。

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