VAGUE(ヴァーグ)

「世界にひとつだけのフェラーリ」ワンオフで作った「BR20」のベースは「812スーパーファスト」ではなかった

フェラーリに認められたカスタマーだけがオーダーできる「ワンオフプログラム」とは

 フェラーリは2011年11月11日(現地時間)、そのプロダクトの最上位に位置するともいえるワンオフシリーズの新作「BR20」を発表した。

 これは過去に製作されたワンオフモデルと同様に、フェラーリによって認められたカスタマーからのオーダーにより製作されたもので、言葉を変えるのならば、わずか1台のみが製作される究極のビスポークモデルと表現することも可能だろう。

  • フェラーリでも上顧客中の上顧客のみがオーダー可能なワンオフプログラムで作られた「BR20」

●ベースはなんと「GTC4ルッソ」

 BR20の流麗なクーペスタイル、そしてフロントにV型12気筒エンジンを搭載すると聞けば、そのベースとなっているモデルは同じV12エンジンを搭載した2シータークーペの「812スーパーファスト」あたりではないかと想像する人も多いだろう。

 しかし、実際にBR20がベースとしているのは、E-Diff、F1-Trac、SCM、RSCなどを統合した進化版の4RMシステムが搭載された「GTC4ルッソ」であった。

 この4WDの駆動方式に加えて、後輪操舵機能さえ装備するGTC4ルッソをベースとしたことは、もちろんカスタマーの希望であり、それはまたフラヴィオ・マンゾーニ率いるフェラーリのデザイン・チームに、革新的なプロポーションを生み出す自由を与えたといっていいだろう。

 GTC4ルッソのリアシートは、BR20のスムーズなファストバックラインにさらなるダイナミズムを追加するために取り外され、一方全長は、GTC4ルッソから3インチ(約76mm)延長されたことで、特徴的なリアのオーバーハングによってBR20のプロポーションはさらに美しく、そしてパワフルに仕上げられた。テールランプやヘッドランプさえも、このBR20のための専用デザインだ。

 BR20はまた、エアロダイナミクスの観点から見ても現代の最先端にあるモデルだ。フロントスポイラーから採り込まれたエアは、冷却の役目を終えると、ブラックにペイントされたフロントフェンダーからドアにまでつながるエアベントで整流され排出される仕組みとなっている。さらにBR20の美しさが際立っているのは、ボンネットとルーフからテールエンドにかけてのライン構成だ。

  • ダークブラウンのレザーの風合いなど、センスのよさがにじみ出ているインテリア

 ではなぜ、カスタマーはGTC4ルッソをベースモデルに選択したのだろうか。

 それはこの新デザインのソリューションによって、Aピラーからダイナミックなリアスポイラーにかけて理想的なエアロダイアミクスを得ると同時に、1950年代から1960年代にかけてのフェラーリ製クーペの姿を再現するためである。それはもちろん、最新のクーペに通ずるデザインでもある。

 そして最大の理由は、4WDという駆動方式にあったのではないだろうか。

 ダークブラウンのレザーと、カーボンファイバーの組み合わせによるインテリアは、まさに豪華絢爛の極み。フェラーリのスペシャル・プログラムである「ワンオフ・プログラム」には、およそ不可能なことなどない。

 だからこそ、フェラーリからワンオフモデルのオーナーに相応しいと認められたカスタマーは、平均で1年以上の時間をかけて、数回にわたってマラネロを訪れ、デザイナーやエンジニアとディスカッションを交わし、開発と検証のプロセスに密接にかかわるのだ。

 フェラーリにはほかに、限定シリーズとして「ICONA」や、「スペチアーレ」など、いわゆるフューオフモデルの販売にも積極的だ。これらのフューオフモデルを手に入れることさえ難しいが、ワンオフモデルをオーダーすることは、それよりはるかに難しい相当に険しく遠い道のりであるといえるだろう。なぜなら、まずはフェラーリから特別なカスタマーとして認められなければならないのだから。

Gallery【画像】一部の上顧客しかオーダーできないフェラーリとは(6枚)

RECOMMEND