VAGUE(ヴァーグ)

蘇る伝説。アメリカ海軍に提供したプロトタイプを復刻したブローバ「MIL-SHIPS」

深度392フィートの潜行を記録しながら、製品化を叶えることなく消えたプロトタイプ

 第二次世界大戦中にはアメリカ政府の要請の下にさまざまなMIL規格の時計を手がけるなど、その歴史において米軍との強い関係性が知られるブローバ。

 今回の復刻モデルのモチーフになった「MIL-SHIPS-W-2181潜水用」なるダイバーズウォッチも、その結びつきを象徴するもののひとつといえるかもしれない。1955年、当時ブローバの研究開発を率いたオマー・ブラッドリー陸軍元帥は、米海軍より重要任務に当たる潜水士専用の腕時計の製作を求められた。

 契約仕様書において「MIL-SHIPS-W-2181潜水用」と名付けられたこのプロジェクトに対し、ブローバでは1957年と1958年の2度にわたって試作品を納入。納入されたプロトタイプに対しては実際にNEDU(The US Navy Experimental Diving Unit:アメリカ海軍潜水実験隊)が実地テストを敢行。深層潜行テストでは当時としては相当の深度となる、392フィート(約119.5m)の潜行に成功している。

 しかしその後、海軍が追加試作品の最終承認を待つ間に、ブローバではこの時計の開発を中止。「MIL-SHIPS-W-2181潜水用」はプロトタイプ数本のみの製作にとどまり、量産化されることなく歴史のなかに身をひそめる形となった。

  • ディテールの随所に先人たちの挑戦を思わせる

●水分の侵入を色で教えるインジケーターがレトロでユニーク

 その「MIL-SHIPS-W-2181潜水用」の復刻モデルとして10月下旬より発売されるのが、「アーカイブスシリーズ MIL-SHIPS “ミルシップ”」だ。ケースサイズは取り回しの良い41mmで、ベゼルに採用した両回転トップリングは、オリジナルモデルの仕様を忠実に復刻したもの。

 水中グローブを装着したまま操作可能なプッシュロック式は、任務に当たる潜水士たちの水中での操作性や安全面に配慮している。暗い水中での視認性に寄与する夜光塗料、耐久性の高いナイロン製NATOストラップなど、軍用品らしいディテールが随所にうかがえるが、ダイヤルをよく見ると、6時位置にやや見慣れない計器のような表示窓があることに気がつくだろう。

 これは、オリジナルモデルにも搭載されていた“モイスチャーインジケーター”で、ケース内部で高湿度を検知すると色が変わって知らせてくれるという機能を持つ。復刻版に搭載されるインジケーターも、万が一時計の防水性能が失われた際には、このカラーがライトブラウンからブルーに変化するとのこと。なんといっても、色で教えるというアイデアがレトロでユニーク。

 復刻モデルは20気圧の防水性能を備えるため、通常の使用においてこのインジケーターが実際に動作することはまずないが、背景に潜むストーリー性に魅力を感じずにはいられない。

●製品仕様
・ケース径:41.0mm
・ケース厚:15.42mm
・ケース:ステンレススチール
・ストラップ:ナイロンストラップ
・ムーブメント:自動巻き
・防水性能:20気圧防水

Gallery【画像】復刻モデルを忠実に再現したミリタリーウォッチの魅力(6枚)

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