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『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンが新車で購入可能に!? なぜいま復活したのか

復刻までの道のりは波乱万丈! そしてまた一波乱ありそうな予感

 映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズに登場するタイムマシンといえばデロリアン「DMC-12」だ。GMの最年少役員だった、ジョン・デロリアンが立ち上げた新興自動車メーカーのデロリアン・モーター・カンパニーで、唯一市販されたDMC-12はステンレスボディにガルウイングという異色のグランドツアラーだった。

 DMC(デロリアン・モーター・カンパニー)は1975年にアメリカ・デトロイトで設立された。1978年、工場は当時、多額の助成金を受け取れたイギリス・北アイルランド郊外に建設されるも、度重なる資金の枯渇で生産ラインをオープンできたのは1981年1月のことだった。

 DMC-12はイタルデザインのジョルジェット・ジウジアーロがデザインし、ロータス・カーズがメカニカル設計を請け負った。また、DMCの出資者にはハリウッドのセレブリティが名を連ねており、前宣伝の効果も手伝って多くのバックオーダーを抱えるなかでの販売開始となった。

 初年度は約6500台を販売するなど売り上げは好調だったが、アメリカに不利な為替レート(当初の予定販売価格の2倍)、原油価格の高騰、金利の高騰などにより販売は低迷。そしてDMCは、1982年10月にはあっけなく倒産してしまった。

 しかも、ジョン・デロリアンは会社の運営資金を得るためか、後に無罪判決を受けるも、FBIによるコカイン取引のおとり捜査で逮捕され、信用を失ってしまったジョン・デロリアンは再起することなく隠居に追い込まれている。

 1983年、DMCの工場に残されていた車両、部品、生産機器一式はアメリカの大手ディスカウントストア、コンソリデーテッド・ストア(現ビッグロッツ)が購入。何をするつもりで購入したのかは定かではなく、またどこに保管していたのかも定かではないのが面白い。

  • ステンレスむき出しのボディにV6エンジンをRRレイアウトする、異端なクルマだったデロリアン。2年間でおよそ9000台が製造されたという(C)DeLorean Motor Company

●「DMC」の商標権を巡る争い

 話は少し逸れるが、カリフォルニア州をベースにデロリアンを専門に取り扱うメカニック、スティーブン・ウィンという人物が居た。もともとはフランス車やイギリス車をメインに整備していたが、DMC車の取り扱いにライバルが居ないことに気づき「デロリアン・ワン」という会社を立ち上げて、デロリアン車に特化することに。

 1997年、そんな彼のもとに前述した車両、部品、生産機器一式を購入しないか、という話が舞い込んだという。そしてテキサス州に倉庫とレストア工場を建設し、新生DMC社を立ち上げることになった。

 しかし、部品や生産機器一式が揃うも、新生DMCはアメリカの法規制を満たすことができず自動車メーカーにはなれないので、“レストア車両”の販売をおこなっていた。そんなウィン氏に追い風となったのが、2015年に可決された小規模自動車生産に関する法律だった。

 2015年に「DMC」の商標権を巡って、ジョン・デロリアンの妻と訴訟になったが和解。新生DMCは由緒正しい、DMCとなった。そして間もなく、新生DMCから新車の販売がおこなわれるということで、アメリカの有名自動車博物館がスティーブン・ウィンとデロリアンの工場を取材した模様がYouTubeにアップされている。

 DMCの倒産から29年の月日が流れ、またDMCから新車が販売されるとなると、実にタイムマシンに相応しい話だ……と、ここで話が終わらないのも、DMCらしい。

 今、DMCはイギリスにある「DMC21」社がDMCのロゴを巡って、商標侵害を訴えている。なんでもジョン・デロリアンの息子を語る人物が、タイ・デロリアンでイギリスの3輪自動車をベースに、DMC-12のパロディ車両を作っているのだった。

 またひと悶着ありそうな予感がするのは私だけではないだろう。

Next現在のDMCを【動画】でチェックしてみよう!
Gallery【画像】映画史に残る名車? 迷車? 「デロリアン DMC-12」を見る(5枚)

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