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ポルシェ「959」に王族特注モデルがあった! 世界に1台の豪華仕様の内容とは

ハイパーカーの先駆けとなった、究極のポルシェ911とは?

 いわゆる「スーパーカー」よりもさらにスーパーな「ハイパーカー」というジャンルの起源については諸説があるようだが、その最右翼としてポルシェ「959」の名を挙げることに異論をはさむ向きは少ないと思われる。

 2021年9月17日、RMサザビーズの欧州本社がスイス・サンモリッツの五つ星リゾートホテルで開催した「St.Moritz」オークションでは、ワインレッドに塗られたポルシェ959が遠くアラビア半島からスイスまで持ち込まれて出品された。

 国際オークションにおいては出品例の少ない「959コンフォート」であるとともに、きわめて特別なボディカラーとフィニッシュ、そしてヒストリーでも注目を集めた。

  • オークションマーケットの相場よりはるかに高い金額で落札されたポルシェ「959」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

●ハイパーカーの始祖ともいえる「959」

 20世紀における究極のポルシェ「911」にして、従来のスーパーカーの常識を遥かに超えるハイパーカーの先駆けとも称されるのが、今や自動車界の伝説的存在となっているポルシェ959である。

 1983年のフランクフルト・ショーにおいて旋風を巻き起こした試作車「911グルッペB」は、その名のとおり当時のFIA「グループB」規約によるレースやラリーへの参戦を期して企画・製作されたもので、この時点で発表からすでに20年が経過していたポルシェ911をベースとしつつも、その中身は当時最新の自動車テクノロジーの大々的な導入によってドラスティックに変貌。後の世界最先端スーパーカーの登場を暗示する、非常に重要なモデルとなった。

 フランクフルト・ショー会場で観衆の圧倒的支持を得た「グルッペB」は、その直後にポルシェの正式プロジェクトとして承認され、新たに「959」のコードナンバーで開発されることになった。

 そして1985年、1986年には、ラリーカーに仕立てた試作モデルで「パリ・ダカール・ラリー」に参戦。とくに生産モデル同様のツインターボ・エンジンを搭載した1986年には、1-2-5位を独占する圧倒的な強さを見せつけた。

 また、同じ1986年の「ル・マン24時間耐久レース」にも、959をベースにレーシング・チューンした「961」がポルシェのワークスチームから単独エントリー。本格的なグループCカーに割って入り、みごと総合7位に入賞してみせた。

 こうして959は、モータースポーツの現場にて見事な成果を残した上で、1987年から正式な限定生産へと移され、グループBホモロゲートに必要な200台+83台(ほかに諸説あり)が製作されるに至る。

 シリンダーヘッドは水冷/ブロックは空冷という、非常に珍しい構成を持つ水平対向6気筒エンジンは、当時のFIA「世界スポーツカー選手権(WEC)」で圧倒的な強さを見せていたポルシェ「962C」譲りで、1気筒当たり4バルブのDOHCヘッドも与えられていた。

 もちろん、2基のターボチャージャーも加えられた結果、その最高出力は当時のポルシェのトップモデル「911ターボ」の50%アップとなる450psに達していた。

 この時代のスーパーカーの中でも400ps級のパワーを持つクルマはほとんど存在せず、ポルシェ959の登場によって、スーパーカーの世界には未曾有のパワーウォーズが巻き起されることになった。

 一方、路面状況の変化などによって前後輪のトルク配分を電子制御で自在に変化させるトルクスプリット式4WDシステムは、のちに964系「911カレラ4」でも採用されたほか、日本のR32系「スカイラインGT-R」などにも大きな影響を与えている。また、ポルシェとしては初となる6速マニュアルトランスミッションも組み合わされた。

 つまり、このクルマが登場する以前は旧来のレーシング/スポーツカーテクノロジーを綿々と踏襲していたスーパーカー界が、ポルシェ959の登場によって凄まじいパワー競争とテクノロジー革新が進む、激動の時代へと突入してゆくことになるのだ。

 その意味でも、959は実に意義深いモデルだったといえよう。

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