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【美しくないフェラーリ3選】レースで勝つことを意識しすぎたあまりにブサイクになった跳ね馬とは?

「F430」に受け継がれた「シャークノーズ」

 自動車の世界における「美」の象徴であるフェラーリは、コンペティツィオーネ(レーシングカー)の世界でも数多くの美しき傑作を生みだしてきている。

 しかしその一方で、機能や空力特性の面でそれぞれの時代における最高のものを追求しようとするあまり、異様ともいえるルックスとなってしまったマシンたちも存在する。

 今回は、筆者の独断と偏見による「賛否両論を巻き起こしそうなフェラーリ」第2弾として、コンペティツィオーネ3台をピックアップ。「醜い」ととられながらも独特の魅力を湛える、3台の跳ね馬を紹介しよう。

  • 「シャークノーズ」のフェラーリ「156F1」

●1961 フェラーリ「156F1」

 まず紹介するのは、F1GPが排気量1500cc以下となった最初のシーズンである1961年に投入された、フェラーリ初のミドシップGPマシン「156F1」である。

 現在ではMINIのグレード名として名を残す英国のコンストラクター「クーパー」が、1950年代末のF1GPにて巻き起こしたミッドシップ革命に対応して、この時期フェラーリのレーシング部門技術陣を率いていたカルロ・キティ博士が開発した、保守派フェラーリとしては画期的なF1カーだった。

 クーパーやロータスなど、いち早くミッドシップ化を果たした先達たちは、FR時代に萌芽を見せていた葉巻型スタイルのラジエーターグリルを持っていたが、156F1のラジエーターに続くエアインテークは、まるでサメの鼻孔のように左右分割されていることから「シャークノーズ」というニックネームが奉られることになる。

 これが1960年代初頭には「TR61」や「ディーノ268SP」などのレーシングスポーツにも採用され、2007年デビューの「F430」にも引用されることになったシャークノーズのはじまりとされる。

 1961年シーズンは、アメリカ人ドライバーのフィル・ヒルと、ドイツ人ドライバーのウォルフガング・フォン・トリップス伯爵。156F1に乗るWエースがシーズン後半までタイトル争いを展開するが、終盤戦のイタリアGPでフォン・トリップスが事故死してしまった結果、フィル・ヒルが号泣しながら世界チャンピオンとなった。

 また、コンストラクター(製造者)部門でもチャンピオンを獲得し、1961年シーズンは悲しい事故に見舞われつつも完勝を達成したのだが、このシーズン終了後のマラネッロに起こった大量解雇劇に巻き込まれて、キティ博士は失脚。

 代わって開発責任者となったマウロ・フォルギエーリ技師は、翌1962年シーズン以降に巻き返しを図った英国勢の優れたデザインを取り入れた結果、このシーズン後半以降の156F1はオリジナルの面影を残さないほどの改修を施され、ノーズもコンベンショナルな葉巻型となってしまう。

 蛇足ながらこのシャークノーズは、開発者のカルロ・キティ博士にちなんで「キティノーズ」とも呼ばれ、その名のとおりキティ博士の大きな鼻をモチーフとしたという珍説もあるのだが、さすがにそれはスルーとしておきたい。

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