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ニット柄が新鮮! 瀬戸焼・型職人のワザが息づくランプシェードのやわらかな光にいやされる

製造からパッケージングまで協業先でまかなう

 一見、ニット生地がかぶせてあるかのように見えるこちらのランプシェード、実はニット柄が刻まれた磁器でできていた! そんな驚きをもたらしてくれる「トレースフェイス ライト」は、瀬戸焼で知られる愛知県瀬戸市で陶磁器の型を製造するエム・エム・ヨシハシが手がけたものだ。

「吉橋さんが手がけた器や置物を、いくつも拝見しました。そうした焼き物を見ているうちに、この技術を使ってもっと生活に密着したものをつくれないかなと思ったのが、今回の協業のきっかけです」

 と語るのは、セメントプロデュースデザインの代表である金谷勉さん。

  • 一見、ニット生地をかぶせてあるかのように見えるが、実はニット柄が刻まれた磁器でできている「トレースフェイス ライト」

 金谷さんは、各地の地場産業の特徴を活かしたさまざまなプロダクトを生み出しているが、協業の際には提携する企業ができるだけ単独で、製造からパッケージングまでおこなえるよう心がけているという。

●ニット生地の立体感や糸の表現を追求

 とはいえ瀬戸焼の製品の多くは、窯元、素地屋、型屋など、工程ごとの分業でつくられる。そのなかでエム・エム・ヨシハシは、型の製造を本業としてきた。これまでの流れでは、型屋の仕事は窯元からの依頼によっておこなわれてきたのである。

 だが、「トレースフェイス ライト」の製造では、型の製造はもちろんのこと、窯元の役目なども担う必要があったエム・エム・ヨシハシ。そこで思いついたのが、絵付けをおこなう代わりに、焼き物の表面に複雑なデザインを施すことだった。そのモチーフとしたのが、陶磁器とは思えないほど精緻なニットの刺繍柄。当然、型を作る際には、細かい柄を石膏の型に刻む必要がある。

 エム・エム・ヨシハシの吉橋賢一さんは「もともと、型そのものに模様を入れることはない」と語る。そんな初めてのチャレンジに取り組んだときのことを、次のように振り返る。

「とにかく、図面と本物の刺繍とを見比べながら、質感をどのようにすれば表現できるか悩みました。とくにニット生地の立体感や、1本1本の糸の表現ですね。これらをどうすれば陶磁器で再現できるのか、試行錯誤を繰り返しました」

 そうした問題をクリアし、製品化へとたどり着いた「トレースフェイス ライト」。だが、ひとつの型が完成したらそれで終わりではない。製品化してからも、定期的に型をつくり直す必要があるからだ。

「ひとつの型をつくるのに、最低でも1週間少々はかかります。その間、彫り続けなければならないので、根気と集中力が必要になります。だから完成にこぎ着けられたときは、いつもうれしくなりますね」

「トレースフェイス ライト」を灯すと、本物のニットをかぶせているかのように、やわらかな光がシェードからもれてくる。これは、光を透過させる磁器ならでは質感で、光の陰影が立体感として現れる。当たり前だが、手に触れると硬い質感が伝わってくる。

 光を灯したときはもちろん、消しているときも手に触れたときも、落ち着いた気持ちにさせてくれるランプシェードだ。

●製品仕様
・価格:1万9800円(消費税込)
・サイズ:直径140×高さ145mm
・重量:745g
・素材:磁器
 https://store.coto-mono-michi.jp/?pid=87132925

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