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ポルシェがフルEVワンメイクレースを始めるか!? eスポーツの先にある「ミッションR」は1088馬力

夢を実現する人々のためのブランド

 ポルシェAGは2021年9月7日、ミュンヘンで開催されるIAA MOBILITY 2021で、新たなコンセプトカー「ミッションR」を公開し、自動車の未来への展望を発表した。

  • IAA MOBILITY 2021で公開された「ミッションR」

●コンセプトカー「ミッションR」ってどんなモデル?

 ミッションRは、最先端のテクノロジーと天然繊維強化プラスチックなどの持続可能な素材を、ポルシェが持つモータースポーツへの情熱と融合したコンセプトカーである。

 進歩的なデザインで、かなり低く構えたフル電動コンペティションカーは、ポルシェスポーツカー特有のフライラインが備えられているという。

 搭載される新開発のふたつの電気モーターは、予選モードで最高出力800kW(1088ps)を発生し、約80kWhのバッテリー容量と革新的な回生システムによって、出力を失うことなく加速することができると説明されている。

●「ミッションR」が示すポルシェのカスタマーモータースポーツの未来とは?

 これまでも、ポルシェのカスタマーモータースポーツは、高い評価を得てきた歴史を持っている。遡ること31年前にポルシェカレラカップドイツを始めて以来、4400台以上のカップカーをヴァイザッハで製造および販売してきた実績がある。

 これらの信頼性の高い高性能レーシングカーをベースに、世界中でポルシェカレラカップジャパンをはじめとした合計30のワンメイクカップシリーズが開催されている。

 さらに2021年のモータースポーツシーズンの開始とともに、一部シリーズで導入された「911 GT3カップ」の最新モデルは「タイプ992」がベースとなっている。

 その流れからも、ポルシェミッションRは、フル電動カーによるワンメイクシリーズの未来を示す存在なのだ。

●「ミッションR」のレーシングカーとしての実力は?

 予選モードで1100psをわずかに下回るミッションRは、静止状態から100km/hまで2.5秒未満で加速し、最高速度は300km/hを超えているという。サーキットでは、現行のポルシェ911 GT3カップと同じラップタイムで周回。

 新設計の電気モーターとバッテリーセル(革新的なダイレクトオイルクーリングを装備)によって、レースモードでは500kW(680ps)の定出力を発生し、ディレーティング(熱条件によるバッテリーの出力低下)も取り除かれている。

 さらに、320kW(435ps)の電気モーターがフロントアクスルに駆動力を供給し、リアには最高出力480kW(653ps)が供給される。高度な900Vテクノロジーとポルシェターボチャージャーによって、わずか15分で5%から80%のSoC(充電状態)にバッテリーを充電することも可能。最大340kWで充電することができる。

 ほかにもミッションRには、ノーズセクションとリアウイングにドラッグリダクションシステム(DRS)を備えたポルシェアクティブエアロダイナミクス(PAA)を装備。これは、ノーズセクションのふたつのサイドエアインテーク(各々3つのルーバー付)と、調整可能な2セクションリアウイングで構成されている。

 また、革新的なバッテリー式エレクトリックドライブコンセプトに加えて、CO2の低減と持続可能性にも重点を置くコンセプトカーのボディは主に天然繊維強化プラスチック(NFRP)でできており、その基本素材は農業で得られた亜麻繊維で作られている。このエコロジー素材は、フロントスポイラーリップ、ディフューザー、サイドスカートに使用されているほか、インテリアドアパネル、リアバルクヘッド、シートなど、室内にも幅広く使用されている。

 インテリアデザインは、あらゆるエリアでドライバーに焦点が当てられている。ステアリングホイールスイッチ間に人間工学的に配置されたディスプレイには、レース中の関連データが表示され、ステアリングコラム上のモニターには、サイドミラーカメラとセンタールームミラーカメラからの画像が表示される。

 シートの右側にあるタッチディスプレイを使用すると、ドライバーの生体認証データを呼び出すことも可能。車内にある他の多数のカメラを使用して、ライブストリームにエキサイティングなシーンを提供することもできる。

●リアルレースとバーチャルレースを近付けた「ミッションR」

 ポルシェは、ミッションRプロジェクトによって、リアルレースとバーチャルレースをこれまで以上に近づけており、まったく同じ形式のモノコックドライバーズモジュールは、eスポーツシミュレーターとしても機能するという。

 カーボンファイバー複合材料で造られた安全構造は、優れたドライバーの保護性能、軽量性、および独特の外観が兼ね備えられている。

 ポルシェのエンジニアとデザイナーが「exoskeleton(エクソスケルトン)」と名付けた新開発のカーボンルーフ構造は、セーフティーケージとルーフパネルが組み合わせられており、その全長は4326mm。現行の「718ケイマン」シリーズよりもわずかに短いにもかかわらず、全幅は著しくワイドな1990mmで、全高も1190mmと大幅に低く構えられている。

 ポルシェはここ数年のあいだに、ミッションE(2015)とミッションEクロスツーリスモ(2018)のコンセプトモデルによって、最初のフル電動スポーツカーモデルシリーズのプレビューをおこなっている。

 外観とテクノロジーに関して、この2台のコンセプトモデルに倣ったスポーツセダンの「タイカン」(2019)とクロスユーティリティーモデル、「タイカンクロスツーリスモ」(2021)は、すでに世界市場で成功を収めており、ミッションは達成された。

 そんなポルシェが、カスタマーモータースポーツの未来についての展望を提示するモデルがミッションRなのだ。

※ ※ ※

 ポルシェAG取締役会会長オリバー・ブルーメ氏は、このコンセプトモデルについて、次のように述べている。

「ポルシェは夢を実現する人々のためのブランドです。これはモータースポーツにも当てはまります。

 私達はサーキットで革新的な強さを体験し、新しい道を追求する勇気を示し、クルマのオーナーにスポーツカー然とした性能で喜びを与えます。

 フォーミュラE世界選手権への参戦に加えて、私達はここでE-モビリティの次の大きな一歩を踏み出します。このコンセプトモデルは、フル電動カスタマーモータースポーツに対する当社の展望を示します。

 ミッションRには、ポルシェを強くするすべてのもの、つまり性能、デザイン、持続可能性が具現化されています」

Gallery【画像】ポルシェのカスタマーモータースポーツの未来展望するコンセプトカーとは(26枚)

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