英国初のスーパーカー! アストンマーティン「ヴァンテージ」の無敵モデル5選

高性能エンジンを搭載したモデルの名称だった「ヴァンテージ」が、1970年代後半には、英国製スーパーカーを象徴する名称へと変化し、2005年に登場した「V8ヴァンテージ」でついに爆発的ヒットを記録した。このヴァンテージの成功の歴史を紐解いてみよう。

ヴァンテージ、スーパーカーの仲間入りを果たす

 アストンマーティンのなかで、もっとも成功したモデルが、ヴァンテージ・ファミリーだ。過去70年間に亘って、3万6000台以上のヴァンテージがハンドビルドによって生み出されてきた。

 1970年代後半からのヴァンテージは、スーパーカーにも引けを取らない性能が与えられ、イアン・カラムがデザインした「DB7 V12ヴァンテージ」以降は、外観もスタイリッシュなリアル・スポーツカーへと変貌を遂げた。そこで、最新モデルへと続く現代ヴァンテージ5車種を紹介しよう。

アストンマーティンV8ヴァンテージ

●V8ヴァンテージとV8ヴァンテージ・ザガート

 1977年の発表当時、「英国初のスーパーカー」と称賛されたのが、初代アストンマーティン「V8ヴァンテージ」だ。このクルマは、先代モデルとはまったく異なるエンジニアリングおよびパフォーマンス面の特徴を備えていた。

 0-60mph(約96km/h)加速ではフェラーリ・デイトナを打ち負かし、最高速度は170mph(約274km/h)に達する性能だった。

 エンジンは、ラゴンダが当時製造していたラグジュアリーセダン用と同じものだが、高性能カムシャフト、高圧縮比、大径化されたインテークバルブ、新設計されたマニホールド、大型キャブレターなどを組み合わせることにより、出力をアップ。

 V8ヴァンテージは、英国製の高性能スポーツカーとして、その車重をものともしないパフォーマンスを発揮した。当時の自動車雑誌によるロードテストによると、「保守的な」デザインのヴァンテージは、ランボルギーニ・カウンタック、フェラーリ512BB、ポルシェ911ターボといった同時代のライバルを上回る性能を見せたという。

 この世代のヴァンテージが大幅なパフォーマンス向上を果たしたのは、300ps台のパワーを叩き出したV8エンジンへのアップグレードによるものだ。キャブレターは、より大型のウェーバー製48 IDFが採用され、インテークマニホールドも改良された。

 大径化されたバルブ、デザインを見直したエキゾーストマニホールド、改善されたカムシャフトと高圧縮比により、このエンジンは、385psを発生する能力を備えていた。

 V8ヴァンテージのシャシーは、アジャスタブルタイプのKONI製ダンパー、短くしたスプリング、大径フロント・アンチロールバーによって剛性が引き上げられた。さらに255/60VR15ピレリCN12タイヤを装着するため、スペーサーを入れてトレッドが拡大されている。

 空力特性の最適化を図るため、エクステリアは明確に差別化された。標準バージョンに比べ、V8ヴァンテージはフロントエアダム、完全に塞がれたグリルに設置されたシビエ製H4ツイン・ドライビングライト(ラジエーター用の冷却エアはバンパー下から導入)、リアのブーツリッド・スポイラーなどを特徴としていた。これらの空力パーツは、リフト(揚力)を低減させるために不可欠であった。

 もうひとつの大きな特徴としては、ダウンドラフト・キャブレター上に設置された大型エアボックスを覆うために必要な、ボンネットバルジの採用が挙げられる。

 V8ヴァンテージは、30年間にわたって大きな進化を遂げ、1990年に5.3リッターエンジンを搭載した「X-Pack」仕様が発表されてひとつの時代の終わりを告げる。

 このモデルは、より全長の短い、先進的で非常に希少なV8ザガートのベースとしても使われた。そしてこの世代のヴァンテージは、アストンマーティン・ラインナップの絶対的な頂点に君臨するモデルでもあった。

●生産台数_V8ヴァンテージ:372台(クーペ)、194台(ヴァンテージ・ヴォランテ)/V8ヴァンテージ・ザガート:52台(クーペ)、8台(ヴァンテージ・ヴォランテ)

アストンマーティン・ヴァンテージV550

●ヴァンテージ(スーパーチャージド・ヴァンテージ)

 1990年代のアストンマーティンは、引き続き「スーツを着た野獣」と評されるスポーツカーを製造することに情熱を傾けている。その結果として登場したのが、ヴィラージュをベースとした1993年のヴァンテージだ。

 このモデルは「スーパーチャージドヴァンテージ」の異名を取り、後に新世代のV8ヴァンテージへと引き継がれることとなる。

 あらゆる意味で重量級となったこのヴァンテージの車重は、1990kgであった。ヘッドライトは6灯式で、フロントには巨大な直径362mmのベンチレーテッド・ディスクブレーキと4ピストンAPレーシング・キャリパーが組み合わされ、その当時のロードカーに搭載された最強のブレーキだった。

 このグランドツアラーに搭載されたエンジンは、5340ccのV型8気筒エンジンにイートン製スーパーチャージャーを2基組み合わせたものである。最高出力558ps、最大トルク76.0kgmを発生したこのパワーユニットは、市販車に搭載されるものとして世界最強を誇った。

 1998年後半にデビューした「V600バージョン」では、さらに出力が51ps強化された。最高速度は186mph(約300km/h)に達し、0-60mph(0-96km/h)加速は4.6秒。高速走行テストでは、200mph(約322km/h)に迫る最高速度が記録されたとされている。

 スペシャル・エディションの「V550」、「V600」および「V8ヴァンテージ Le Mans」なども投入され、2000年10月の生産終了に至るまで、この世代のヴァンテージが新鮮さを失うことはなかった。

●生産台数_ヴァンテージ/V8ヴァンテージ:273台(クーペ)、40台(スペシャルモデル)

アストンマーティンDB7 V12ヴァンテージ

●DB7 V12ヴァンテージ

 1999年のジュネーブモーターショーでデビューした「DB7 V12ヴァンテージ」が、次世代ヴァンテージのエンブレムを掲げるモデルとなった。

 世界的に有名なデザイナーのイアン・カラムによって完全に新しくデザインされたこのクルマは、フォード・リサーチ&ビークル・テクノロジー・グループおよびコスワース・テクノロジー社との緊密な協力体制によって開発されたオールアルミニウム合金製5.9リッター48バルブV型12気筒エンジンを搭載し、426psの最高出力、55.3kgmの最大トルクを発生した。

 シャシも強化され、当時としては非常に斬新なフロントおよびリア・サスペンションのセットアップが採用された。このモデルが登場するまで、アストンマーティン・ヴァンテージは、標準仕様のエンジンを搭載していたが、DB7 V12ヴァンテージはそれらと一線を画した新しいエンジンを採用し、直列6気筒エンジンを搭載したヴァンテージともまったく異なるモデルに仕上げられている。

 その結果、当初は、下記の2つのトランスミッションが用意された。

・クロスレシオ6速マニュアル・トランスミッション:最高速度184mph(約296km/h)、0-60mph(約96km/h)加速5.0秒
・5速オートマチック・トランスミッション:最高速度165mph(約266km/h:リミッター作動)、0-60mph(約96km/h)加速5.1秒

 しかし、2000年以降、ZFとの共同開発で高い評価を得た「タッチトロニック」システムも選択可能となっている。

 ブロックシャム工場で4年半にわたって製造されたDB7 V12ヴァンテージクーペの生産台数は2091台に達し、ヴォランテおよびGTと合計した数字は、アストンマーティンにとって新記録となった。

 最後のDB7 V12ヴァンテージは、2003年にブロックシャム工場からラインオフされている。

●生産台数_DB7 V12ヴァンテージ:2086台(クーペ)、2056台(ヴォランテ)

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