機械式時計として現代風にアップデートされた「シリーズ エイト」
オンオフを選ばないモダン・スポーティなデザイン
8年の時を経て再始動した、2021年8月3日発売の「シリーズ エイト」の新モデルは3ライン。
アイコンモデルとなる「870 Mechanical」は、ヘアラインとミラー仕上げが施されたステンレスケースに2体構造のベゼルが特徴。存在感のある太めの針も相まって、シンプルながらも力強さを感じさせる。ラインナップは、ステンレスバンドのブラック文字版とホワイト文字版、ウレタンバンドのブルーの3つのモデルだ。
3機種のなかでもっとも個性的な「830 Mechanical」は、白蝶貝と格子状の金属を重ねた3層構造の文字板を採用。まるで万華鏡のような、鮮やかな輝きと立体感のある文字板は、和の雰囲気も漂わせている。ステンレス無垢ケースとグレーケースの2モデル。
スタンダードモデルと位置づけされた「831 Mechanical」は、8角形状のステンレスケースにシンプルな文字板を組み合わせている。エッジの鋭い針と小刻みなインデックスが、スポーティなテイストをプラス。ステンレスバンドのブラック文字版とホワイト文字版、ゴールドカラーのケースにウレタン+カーフバンドのブルーダイヤルの3モデル。
いずれのモデルも、ステンレスのシャープな表情と、シンプルでスポーティなデザインが絶妙にマッチ。そのデザインのこだわりについて、メーカーの方に伺った。
「2008年に登場した、前身ブランドのデザインテーマである“引き算の美意識”を引き継ぎながら、2021年の新時代に相応しいデザインと機能性を兼ね備えた機械式時計のコレクションを展開していきます。直線とシンプルな面で構成されたモダンなケースライン(直線基調の無機質で工業的な印象を意識)と、粗目のヘアライン加工(通常よりも少し粗目の仕上げとなっており、工場で削りだされた金属のかたまり感をイメージ)を大胆に組み合わせたモダン・スポーティなデザインが特徴です」
このモダン・スポーティなデザインは、ここ数年トレンドとなっている“ラグスポ(ラグジュアリースポーツ)”と通ずるところがあり、スポーティでありながらドレッシーな上品さも持ち合わせている。ラグスポ同様、ビジネスでもカジュアルな場面でも、シーンを選ばずに活躍することだろう。
●あらゆるところに磁力が潜む現代社会に対応した耐磁性能
そして、今作のシリーズ エイトを語る上で外せないのが“耐磁性能”だ。「870 Mechanical」と「830 Mechanical」が搭載する“Cal.0950”と、「831 Mechanical」が搭載する“Cal.9051”、今年新開発された薄型の機械式ムーブメントには強力な“第2種耐磁”が備わっているが、その重要性についてメーカーの方に伺った。
なお、第2種耐磁とは、日本工業規格の「JISB7024耐磁携帯時計一種類及び性能」に規定されたJIS保証水準16,000A/mをクリアしたもの。磁気に1cmまで近づけても、ほとんどの場合はその性能を維持することができるとのこと。
「スマートフォンやパソコン、タブレット等、日常生活のいたるところに磁力が潜んでいる現代社会において、機械式時計に備わる耐磁性能は時計を快適に使う上で必要な要素となります。機械式時計が磁気の影響を受けてしまうと、内部の部品が“磁化”されてしまい、てんぷの動作に影響を与え精度に影響が出る可能性もあり、元の精度に戻すには専用の機械での“脱磁”が必要になります」(シチズン)
機械式時計について回る問題が“磁気帯び”。一度、磁気の影響を受けてしまったら時計店などで脱磁をする必要があり、スマートフォンなどの磁気を持つ機器が身近となったいま、機械式時計にとって耐磁性能はことさら重要なスペックとなっている。
デザイン性だけではなく、機能や実用性も現代風にアップデートされた新たな「シリーズ エイト」。ビジネスシーンにも対応し、カチっとし過ぎずにスーツにも馴染むそのスタイルは、今の柔軟な働き方にもマッチするはず。機械式時計としては、比較的手の届きやすい価格帯も魅力だ。