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ハーレーダビッドソンが「パン アメリカ」で挑むアドベンチャーバイクの人気とその可能性

ハーレーのイメージを覆す先進装備

 ハーレーダビッドソンが初めてトライする新カテゴリーバイク「パン アメリカ 1250」(231万円から/消費税込、以下同)が、ついに日本でも発売された。

  • ハーレーが初めて手がけたアドベンチャーツーリングモデル「パン アメリカ 1250」

“アドベンチャー”系と呼ばれるツーリングモデルは、近年、世界的に人気が高まっているカテゴリー。オフロード走行にも対応した足回りと、高速巡航時にライダーを風圧から守るカウルを装備しているのが特徴で、路面状況を問わず長距離ツーリングを楽しめるのが人気の理由だ。クルマでSUVが人気を集めているのと同じと考えればわかりやすいかもしれない。

 ハーレーダビッドソンといえば空冷のVツインエンジンが有名だが、「パン アメリカ 1250」は新開発の水冷V型2気筒のRevolution Max 1250エンジンを搭載。レブリミットは9500rpmに設定され、最大トルクは128Nmを6750rpmで発揮する。同ブランドとしては高回転型のパワーユニットだ。

 またこのエンジンは、フレームの中核としても機能。フロントフレーム、ミッドフレーム、テールセクションの3つが、パワートレインに直接ボルトで固定される設計で、重量の軽減と剛性の確保を高次元で両立する。

 個性的なデザインのカウル内には、メーターを兼ねる6.8インチのタッチパネルスクリーンを装備。スポーツモード、ロードモードなど走行モードの切り替えが可能で、レインモードやオフロードモード、より高難度な悪路向けのオフロード+モードも備える。ABSやトラクションコントロール機構といった電子制御が充実しているのも、従来のハーレーダビッドソンのイメージを覆す装備といえる。

 より装備の充実した上位グレード「パン アメリカ 1250 スペシャル」(268万700円から)には、電子制御式のセミアクティブサスペンションを前後に標準装備。走行モードに応じて減衰力を自動調整するほか、車体の加速度やロール角、ライダーのスロットルやブレーキの操作にも反応し、快適な乗り心地を実現する。停止時に車高を下げ、足つき性を向上させるアダプティブライドハイト機構も備えている。

“旅バイク”の幅を広げる選択肢

 ブランドのイメージを覆し、先進装備満載のアドベンチャーモデルをリリースした理由について、ハーレーダビッドソン ジャパンで広報を担当する才門さんはこう語る。

「ハーレーダビッドソンといえば、大陸を走るツーリングバイクというイメージを持つ方が多いかと思いますが、もともとは道路が舗装される以前からバイクを作っているブランドです。オフロードを走れるアドベンチャーツーリングモデルも、旅の幅を広げるという意味ではブランドのイメージに沿うものだと思います」

 実際、2021年2月に予約受注を開始して以来、予想を上回るオーダーを集めており、そのうちの約4割は初めてハーレーダビッドソンを所有する新規オーナーだという。

 このように「パン アメリカ 1250」が支持を集める理由について、2輪メディアを中心に活躍するジャーナリストの伊丹孝裕さんは、次のように分析している。

「“いかにもハーレーダビッドソン”というスタイルでないアドベンチャーモデルであることが、新規ユーザーにとっても従来モデルのオーナーにとっても購入しやすさにつながっているのかもしれません。

 アドベンチャーバイクはもともと欧州で支持されていたジャンルで、1台で長距離ツーリングからちょっとしたオフロード走行までこなせるのが魅力。これまで北米市場を中心に展開してきたハーレーダビッドソンが、このモデルをきっかけにヨーロッパやアジアでも勢力を伸ばすことが期待されます」

 ちなみに、これまでのアドベンチャーバイクはオフロードに対応したサスペンションの長さもあり、日本人にとっては足つき性に難があるモデルが少なくなかったが、「パン アメリカ 1250」は小柄がライダーでも足がつきやすく、それも人気のポイントとなっている。これまで欧州メーカーが中心だったこのジャンルに、ハーレーダビッドソンが新風を吹き込むことになりそうだ。

Galleryハーレーの新境地をひらいた「パン アメリカ 1250」の魅力を写真でチェック(6枚)

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