VAGUE(ヴァーグ)

さすがはポルシェと唸らされる瞬発力

 ポルシェ「タイカン」に乗って最初にフル加速する時、誰もがその速さに驚くことだろう。静止状態からの瞬発力には「さすがポルシェ!」と納得させられる。電気モーター車も、ポルシェが作るとこんなに速いのか、と。

  • EVになっても、ポルシェはポルシェなのであった

●背後から蹴られるような加速感は健在

 0-100km/hはわずか2.8秒。アクセルペダルをドンと踏むと、シートで背中を叩かれるような強力は発進加速をみせる。ガソリン車でもこれだけの加速をするクルマには、そうそうお目にかかれない。

 何しろタイカンは、車重が2.3トンもあるのだ。これだけの重量車をこの勢いで加速させるとは、瞬間的に760ps以上を発生するというモーターは伊達ではない。スポーツカーにこだわってきたポルシェの意地とプライドを感じる大きなポイントだ。

 ポルシェのエンジン車に慣れ親しんできた私にも、この加速に違和感はまったくないどころか、「やっぱりこうだよね!」と嬉しくなる。

●疑似サウンドで気分もアゲアゲ

 面白いのはオプションで用意されているポルシェ・エレクトリックスポーツサウンド(E-スポーツサウンド)だ。

 通常は軽いモーター音しか聞こえてこず車内は静粛そのものなのだが、E-スポーツサウンドをオンにすると、大容量アンプのスイッチを入れた時のようなサウンドが響くようになる。私と同世代の人なら、「映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』1作目のオープニングで、主人公のマーティンがパワーアンプの電源を入れた時の音」とでも表現すれば、そのサウンドの凄まじさが伝わるだろうか。

 正直、私のような“スポーツカージャンキー”からすると、「もっと派手な演出があってもいいかな」とやや残念に思うところはある。宇宙戦艦ヤマトが波動砲のエネルギーを溜めている時のような音を奏でてくれてもいい。

 だが、このE-スポーツサウンドからも、「電気モーター車とはいえ無音にはしないぞ」というポルシェの主張がビシビシと伝わってくるのは確かだ。ここにも、スポーツカーメーカーの意地とプライドを垣間見ることができる。

 しかし繰り返しになるが、車重は2.3トンだ。「ゼロ発進加速はともかく、運動性にはどこかネガがあるはずだ」と、意地悪な粗探しをしたくなる。

 0-100km/hの発進加速は凄まじいが、その先の伸びは、やや緩慢になる。ただしこれは電気モーターの特性だから致し方ないところではある。せいぜい気になるのは、それぐらいだ。

 アクティブサスペンションの恩恵もあって、ハンドリングはクイックといえる。「タイカン ターボS」に搭載されているセラミックコンポジットブレーキも、回生マネジメントシステムが作動している時の唐突感こそ若干気になるものの、制動力そのものは圧巻だ。高速移動する2.3トンが瞬時に減速する様子は、さすがといわざるを得ない。

* * *

 エンジン車の完成度の高さからすると、まだわずかに気になる点はある。しかし、電気モーター車の世界でもスポーツカーメーカーとしての地位を確立しようとするポルシェの意気込みは十分に窺える。

 電気モーター車が一気に普及しそうな将来を見据えた時、最初からポルシェらしさを打ち出してきたタイカンの存在意義は大きいのではないだろうか。

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