VAGUE(ヴァーグ)

映画の劇中車としても注目を集めたアイコン的存在

 こうして順調に成長を重ねたメルセデスR107系SLは、リチャード・ギア主演の映画『アメリカン・ジゴロ(1980年公開)』や、エディ・マーフィの大ヒット作『ビバリーヒルズ・コップ(1984年公開)』において、豊かで華やかな生活を象徴するアイコン的存在として登場。

 わが国においても、シンガーソングライター浜田省吾氏の大ヒット曲『Money(1984年発売)』の歌詞に登場する「純白のメルセデス」は、R107系SLを想定していたというのが定説となっているそうだ。

  • 「ESV」研究の成果である凸凹のつけられたテールランプが特徴的な「350SL」のリアビュー

●バリエーション豊富な展開を見せた「SL」

 そんなR107型で注目すべきは、ロードスター版が設けられた開祖「300SL」をのぞくメルセデスSL史上初めて、ボディにバリエーションが加えられたことである。

 ホイールベースを、R107系SLから360mm延長。「パゴダ」と愛唱されるハードトップを延長したうえで完全固定することで、快適至極かつゴージャスな4シータークーペとした「SLC(C107系)」がそれである。

 1961年から生産されていた旧「SE」クーペの後継車「350SLC」として、350SLと同時にデビューを果たした。

 SLCシリーズは、のちに欧米各国で生まれることになる高級パーソナルクーペのお手本になったことでも、エポックメーキングな存在となる。例えば、リアクォーターウィンドウ後端に取り付けられた縦置きブラインド型のサンシェードは、わが国でもトヨタの初代「ソアラ」にそっくり真似られたという、懐かしいエピソードを記憶している方も多いに違いあるまい。

 エンジン、トランスミッションなどのバリエーション/設定は、すべてオープン2シーターのSLと同じものとされ、それぞれ「350SLC」、「450SLC」、「280SLC」と命名された。

 1977年秋には、450系用ユニットをベースにストロークを再延長した、鋳鉄ブロック/アルミヘッド5リッターエンジンをSLCに限って搭載する「450SLC5.0」が追加される。これは、高級クーペ市場に参入してきたBMW「6シリーズ」やジャガー「XJ-S」さらにはポルシェ「928」などのライバルへの対応に加えて、後述するモータースポーツへの参入も見越したものだった。

 しかし、1980年にはV8モデルのエンジンはすべてW126系Sクラス用に新設計された新アルミ合金ブロックを持つ3.8/5リッターへと変更した「380/500SL」および「380/500SLC」が登場。これによって意味を失った450SLC5.0は、カタログから消滅することになった。

Nextモータースポーツ復活のきっかけとなった「SL」とは
Gallery【画像】80年代ポップカルチャーのシンボルだったメルセデス「SL」とは?(15枚)

page

RECOMMEND