ハンドリングといえばロータス! 「エキシージ スポーツ350」はなぜ気持ちよい?

プロレーサー、テストライダー・ドライバーの丸山浩氏によるオーナー目線のインプレッション。今回のテストカーは、ロータス「エキシージ スポーツ350」をサーキットで試してみた。

軽さは命、その哲学が貫かれたロータスは何が気持ちいいのか?

 ロータスが、内燃エンジン搭載モデルの販売を2021年7月6日公開予定の「エミーラ」を最後に終了すると発表した。こいつは、いまあるロータスを片っ端から堪能しておかなければと、今回は「エキシージ スポーツ350」をテストすることにした。

 私はかつて、ロータス「ヨーロッパ」(1970年代)の車輌で耐久レースに出たり、1990年初頭、二輪の全日本ロードレースに参戦していた時には、ニューモデルとして登場したロータス「エスプリ ターボSE」を購入したり、いまも「エキシージS」のレーサーを所有していたりと、ロータスには並々ならぬ思いを持っている。だから「最後のガソリンエンジン搭載車」となると、片っ端から乗りたくなるのであった。そしてエキシージ スポーツ350も、ぜひとも乗っておきたい1台だった。

●格別にハンドリングが気持ちよいロータス

ロータスは軽量であるからこそ、バネレートを高めなくて済む。それが乗り心地がよい理由のひとつに繋がっている

 今回はロータス・ハンドリングの真髄に近付くために、特別に袖ヶ浦フォレストレースウェイで試乗させてもらった。タイムアタックをするわけではないが、やはり走る・曲がる・止まるという基本パフォーマンスを確かめるために、より安全な舞台であるクローズドコースを選んだのだ。

 試乗して改めて思った。やはりロータスのハンドリングは素晴らしい。私がロータス好きを公言しているのは、ハンドリングがもっともバイクに近いからだ。軽量な車体によりクイックで、無用なロールもほとんどなく、地を這うようにコーナーを駆けていく。狙ったラインをスッと走ってくれる心地よさは、量産車随一。これ以上を求めるのなら、もはやフォーミュラカーしかないだろう。

 スポーツカーの定義や考え方はいろいろあるなかで、ロータスは徹底して軽量化にこだわっている。軽さを維持するために、ロータスはエンジンも大排気量化しない。エキシージ スポーツ350は、3.5リッターV型6気筒スーパーチャージドエンジンを搭載し、パワーは350ps。これがV10だ、V12だ、500psだ、700psだとスープアップすればするほど、当然車両重量は重くなる。エンジン自体も重くなるし、パワーに耐えるために各部のパーツもゴツくなっていくからだ。

 それなら、パワーを控え目にしてでも、他社よりも軽い方がいい。なぜなら、ストレートスピードでは大排気量車に敵わなくても、コーナーでは絶対に負けないクルマの方が運転していて楽しいじゃないか。そうした首尾一貫しているロータスの考え方が、昔から私は好きだ。

 レーシングマシン作りにおいて、軽さは絶対的な正義なのだ。エキシージ スポーツ350は従来型エキシージSに比べ51kgの軽量化を果たし、1.2tにも満たない車両重量だ。この軽い車両重量こそが、素晴らしく楽しいハンドリングの源になっている。そして意外と乗り心地が良好なのも、車体が軽いことに由来している。路面をガッチリと掴むため、そしてロールを抑えるためのサスペンションバネレートをそれほど高めなくても済むからである。

 このクルマで、前輪と後輪を微妙に滑らせながらコーナーを駆けるのは、最高に気持ちいい。ドリフトアングルがほとんどない、いわゆるゼロカウンターの姿勢でコーナーを立ち上がっていく快感は、ロータスならではのものだ。操っているという実感をこれほど味わわせてくれるクルマは他にない。

 いまとなっては、装備は素っ気なさすぎると言われても仕方がない。しかし私は、このハンドリングを楽しめるだけでも990万円の価値があると思っている。

 今後発表されるラスト内燃機関ロータス・エミーラにも期待している。しかし現在まで徹底して軽量化を貫いてきたロータスシリーズは、すべて乗っておきたい。エヴォーラ、エキシージとテストしたから、やはり最後は最軽量エリーゼを心ゆくまで堪能したいと思う今日この頃だ。

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