なぜベントレーは再生可能燃料でモータースポーツに挑戦するのか? 3冠を狙う「コンチネンタルGT3パイクスピーク」とは

ベントレーがパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムでの3冠を目指して、パイクスピーク仕様の「コンチネンタルGT3」で参戦する。しかも再生可能燃料でのチャレンジだ。

再生可能燃料の未来を担う「コンチネンタルGT3パイクスピーク」

 ベントレーは、2021年6月27日に開催される「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」にチャレンジする。今回ベントレーは、2018年と2019年の市販SUV部門、市販車部門での優勝に続き、タイムアタック1の記録を目指しているが、注目は再生可能燃料エンジンで参戦している点にある。

●なぜベントレーは再生可能燃料で参戦するのか

再生可能燃料でチャレンジすることで注目を集めているベントレー「コンチネンタルGT3パイクスピーク」

 現在、ベントレーの「コンチネンタルGT3パイクスピーク」は、3回の動的テストセッションと再生可能燃料エンジンの開発を終え、世界でもっとも過酷で有名なヒルクライムに向け、最終調整をおこなっている最中だ。

 ベントレーは、持続可能なラグジュアリーモビリティのリーディングカンパニーになるために「ビヨンド100戦略」を電動化と再生可能燃料という2本立てで進めている。コンチネンタルGT3パイクスピークは、ベントレーの再生可能燃料に関する研究開発プログラムの先駆けとなるものだ。

 今後ベントレーは電動化プログラムと並行して再生可能燃料をカスタマーに提供することを目指しており、ベントレーの歴代モデルオーナーだけでなくエンジン搭載車ファンは、再生可能燃料の将来性に期待している。その意味でもコンチネンタルGT3パイクスピークは、例年以上に注目が集まることは必至だ。

 では、3冠を目指すコンチネンタルGT3パイクスピークの仕様について説明しよう。

 エンジンは、レースで実績のある4リッターターボV8ロードカーエンジンをベースにしているが、平均的な標高におけるテストで最高出力750bhp以上、最大トルク1000Nm以上、レースではさらにハイパワーで走れるよう徹底的に改良が施されている。

 追加のブースト圧(2.2bar以上)によるパワーに対応するために、新しいピストンとコンロッドを採用。同様の理由で、カーボンファイバーのインテークマニホールドも、標準仕様と比べより厚く強固になっている。

 カスタム仕様のワンオフのチタン製エキゾーストマニホールドは、アクラポビッチ社によって3Dプリントで製作され、フロントホイールの後ろから出る非常に短いエキゾーストと専用スクリーマーパイプに接続する外部ウェストゲートを備えた大径ターボへとつながっている。

 エンジンは98RON再生可能レーシング燃料を使用する。この燃料は、モータースポーツ用に特別に設計された先進的なバイオ燃料を専用にブレンドしたもので、温室効果ガスを最大85%削減できる持続可能な方法で作られたe-fuelへの技術的な足がかりとなるものだ。

 さらにハイパフォーマンスなエンジンにはより高性能な冷却システムが必要になるため、エンジニアリングチームはパイクスピークのために車両後部に設置される二次冷却システムを開発。リアウインドウの代わりにエアスクープを設置し、セカンダリラジエーターに空気を送り込み、トランクリッドのダクトから排気するこのシステムは、専用のセカンダリーウォーターポンプによって作動する。

 ギアボックスはベントレーの標準的なレーシングユニットと同じものを採用しており、より耐久性を高めるためにリアドライブシャフトの直径が大きくなっている。ギアボックスには、エンジンにも高性能オイルを供給しているモービル1が特別に開発したオイルを使用している。

 シャシは、パイクスピークのコース特性に合わせて設定・調整された。前後のアクスルは、標準的な「コンチネンタルGT3」のセットアップよりも大幅にキャンバー角を減らし、低速でのコーナリング性能に重点が置かれている。ベントレーの製品の中でもっともソフトなスプリングとアンチロールバーが装着されており、ボディの動きをより大きくして、ブレーキ時の加重移動が最大限になるようにセッティングしている。また、コース上での全開のアタックがもたらす負荷の増加に対応するべく、ブレーキ自体は水冷式が採用された。

 空力面では、最初の走行セッションで確認された標準車の前後の空力バランスを維持しつつ、平均標高におけるダウンフォースを全体的に30%向上させている。

 トランスアクスルギアボックスを取り囲む高性能のリアディフューザーの上には、ベントレー史上もっとも大きなリアウイングが取り付けられた。この巨大なリアウイングと空力バランスをとるために、フロントにはふたつのプレーンスプリッターとその横に備えられたダイブプレーンからなる包括的なフロントエンドのエアロダイナミクスパッケージが採用されている。

 ちなみにこれらの部品の大部分は、クルーの工場でラピッドプロトタイプ技術を用いたカーボンナイロンフィラメントで作られている。

 また、カラーリングもレース仕様となっている。英国でこのクルマを走らせているロジャー・クラーク・モータースポーツの黒と金のテーマと、今までパイクスピークに出場したベンテイガとコンチネンタルGTにも採用された、ひと目でわかるベントレーのパイクスピークマウンテンのグラフィックが組み合わされている。

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 今シーズンのパイクスピークでは、ベントレー オーナーやファンだけでない人たちにも注目されているコンチネンタルGT3パイクスピーク。

 ドライバーは、パイクスピークで3度の優勝経験を持つ元「キング・オブ・ザ・マウンテン」であり、ベントレーの過去の2度の優勝──2018年の「ベンテイガW12」による市販SUV部門での優勝と2019年の「コンチネンタルGT」による市販車部門での優勝──を経験しているリース・ミレン氏だ。

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