シトロエンの「ハイドロサス」は壊れない!? 勇気を持って世界遺産と向き合ってみよう!【中古車至難】

最新テクノロジーを使って乗り心地を向上させたクルマが増えている。一方で未だに乗り心地といえばフランス車だ、というクルマ好きの方は多い。それは1955年、ハイドロニューマチック・サスペンション(ハイドロサス)を搭載したシトロエン「DS」の登場を起因としている。それ以降、各社がハイドロサス搭載車を販売していたが、今回はどのメーカーよりも積極的にハイドロサスを採用していたシトロエンを解説。いまなお色あせない、ハイドロ搭載シトロエンが持つ魅力について紹介したい。

複雑なフランス製旧車はこわれやすいのでは? という風評

 結論としては「意外と大丈夫」ということになる。

 もちろんこれはかなりの条件付きで、「マトモな専門店でマトモに修理された個体を買うこと。そして購入後も“定期検診”は怠らないこと」という条件下での「意外と大丈夫」という話だ。

 そもそもは普通に頑丈なシステムだったシトロエンのハイドロニューマチックが、日本では悪名高き存在になってしまったのには、大きく分けて3つの理由がある。

 ひとつは、日本への正規輸入が始まった初期の時代に、当時の輸入元が「シトロエンを正しく触れるメカニック」の育成を怠ったこと。

 筆者の独自取材によれば、多くの(当時の)ディーラーメカニックは「正確な資料やデータが会社から与えられず、その結果として、よくわからないまま整備をおこなっていた」という。

 もうひとつの理由は、初期にそういった整備を受けてしまった個体がその後も、畑違いな一般整備士による「整備」を受けてきたこと。

 そしてもうひとつの理由が、シトロエン自身が1989年の「XM」でハイドロニューマチックの電子制御化を図り、図ったのはよいのだが、機械製品としてのツメが甘かったため「謎の故障」を頻発させたことだ。

 これら事情の合わせ技によって「ハイドロニューマチックのシトロエン=近寄るべからず」という評価が固まってしまったのだ。

●世界遺産を手に入れると思えば安い!?

他メーカーでは前輪のみの採用や車高調整用として採用されることが多かったハイドロサス。シトロエンでは全輪に搭載するだけでなくステアリングやブレーキも油圧で制御する効率的な設計だった(C)Stellantis N.V.

 だがしかし、ハイドロニューマチックに関する豊富な経験を持つ専門店が、納車前にビシっとした整備を施した個体でさえあれば、往年のシトロエンというのはそう簡単に壊れるものでもない。

 もちろん2021年製の新車とまったく同じ感覚で維持することなどできやしないが、それはハイドロシトロエンであろうと、金属バネの昔の日産スカイラインであろうと同じことだ。「古い機械と付き合うだけの根気と愛情」があれば、普通になんとかなるものである。

 とはいえ往年のシトロエンは決して激安なクルマではなく、とくに整備済みのそれは、そこそこのお値段にはなる。具体的には、あくまで「おおむねの目安」としては下記のような金額であろうか。

・シトロエン GS/GSA|200万−300万円
・シトロエン BX|200万−300万円
・シトロエン CX|250万−400万円
・シトロエン DS|800万−1200万円

「中古のハッチバックを買う」と思えば、いささか高額なのかもしれない。しかし「人類史に残る何か」を手に入れるためのお代としては、筆者には「爆安」に思えるのだが、いかがだろうか?

 ちなみに筆者は今、某店で売りに出されている約140万円の「GSAパラス」が欲しくて欲しくてたまらない状態になっている。車両価格にプラスして100万円くらいの整備費用および内装の補修費用はかかると思うが、それでも、「世界遺産としては激安!」としか感じられないのだ。

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