アルピナのメインストリーム「B5」 「M5」にはない上質な仕立てとは

BMWアルピナの「らしさ」がもっとも色濃く感じられるのは、今も昔も「B5」である。その理由と最新「B5」のインプレッションをレポートする。

アルピナの真骨頂は「B5」にあった

 BMWアルピナを語る際には、しばしば「アルピナマジック」という言葉が登場する。本家BMWのキャッチフレーズ「駆け抜ける喜び」を、本質的なレベルからさらにブラッシュアップしたようなハンドリング。そして、極太/超扁平のハイグリップタイヤを履いているとは思えないほどに快適な乗り心地を、凄まじいまでの高次元で両立したサスペンションセットの「妙なる調和」を端的に表現したものといえるだろう。

●“アルピナマジック”のてんこ盛り

アルピナといえば、ウッドパネルが奢られたキャビンが伝統である

 しかし新型B5には、サスセッティング以外にも「マジック」が隠されているようだ。

 今ではすべてのアルピナがツインターボ/4輪駆動化されたことから、「BITURBO(ビターボ)」および「Allrad(アルラット:AWD)」の記載は省略されてしまうことが多くなったが、新型BMWアルピナB5のリムジーネ(セダン)版の正式な車名は「BMW ALPINA B5 BITURBO Limousine Allrad」。すなわち、当代最新のスーパーセダンの例にもれず4輪駆動で、しかも新型では4輪操舵システムも投入されている。

 今回のテストドライブは、同日に試乗した「B7」と同じコース。上信越道の碓氷軽井沢ICから松井田妙義ICまでの一区間のみ高速クルーズしたのち、復路は碓氷峠の旧道を戻るというルートを選んだ。ただ同じコースを走らせたにもかかわらず、また同じエンジンを搭載しているにもかかわらず、その印象は直前に乗ったB7とは大きく異なるものだった。

 デフォルトである「Comfort」と、よりスポーティな走りを得るための「Sports」、ふたつのドライブモードを切り替えながら走らせたのだが、まず高速道路で「Sports」をセレクトすると、BMWアルピナらしい快適なシャシとパワー、そして4輪駆動のスタビリティを生かした悠然なドライブというよりはV8サウンドに急き立てられるようにアグレッシブな気持ちとなってしまい、アルピナのドライバーに相応しい自制心が要求される。

 そして待望の碓氷峠。試乗日はあいにくの雨で、濡れた落ち葉や小枝が路面のそこら中に落ちているという最悪のコンディションだったものの、B7よりも200kg近く軽いとはいえ2030kgにも達する車両重量をまるで感じさせない、鬼神のごとき走りを披露。まるで2000cc級のスポーツカーのごとく、続々と現れるヘアピンカーブをヒラヒラと舞うかのようにこなしてゆくことができる。

 B7が「積極的に楽しめる」だったのに対し、こちらB5は「狂おしくなるほどに楽しい」。でも、ウェイトが軽いせいなのか、それとも制御が強めにセットされているのか、4WDや後輪操舵の特質は、B7よりも明らかにはっきりと感じられる。

 また、ワインディングではデフォルトと判断して選んだ「Sports」では、2000rpmから5000rpmの広い回転域で発生されるという800Nm(81.6kgm)のトルクが一気に奔出され、運転スキルが人並みていどの筆者には、ちょっと過敏にも感じられてしまう。

 ところがここで「Comfort」に戻すと、昔ながらのBMWアルピナらしい、力強くもしなやかな走りに切り替わる。つまり、BMWアルピナ古来の伝統である上質感のある走りとスーパーカー的な愉悦の双方が、モード切り替えのスイッチひとつで味わえるのだ。

 これぞ「新時代のアルピナマジック」といわずして、なんと表現すべきか。

 セールス上の主流が3/4シリーズをベースとしたモデルたち、あるいはSUVモデルたちになろうとも、BMWアルピナの保守本流は5シリーズ。アルピナがこのセグメントをこの上なく大切にしていること、そして将来にわたって進化を図ろうとしていることが、新型B5に触れて明快に理解できたのである。

●BMW ALPINA B5 BITURBO Limousine Allrad
ビー・エム・ダブリュー・アルピナ B5 ビターボ・リムジーネ・アルラット
・車両価格(消費税込):1898万円
・全長:4980mm
・全幅:1870mm
・全高:1480mm
・ホイールベース:2975mm
・車両重量:2030kg
・エンジン形式:V型8気筒DOHCターボ
・排気量:4394cc
・エンジン配置:フロント縦置き
・駆動方式:4輪駆動
・変速機:8速AT
・最高出力:621ps/5500−6500rpm
・最大トルク:800Nm/2000−5000rpm
・0-100km/h:3.4秒
・巡航最高速度:330km/h
・ラゲッジ容量:530L
・燃料タンク容量:68L
・タイヤ:(前)255/35ZR20、(後)295/30ZR20
・ホイール:(前)8.5Jx20、(後)10Jx20

Gallery:【画像】至高のアルピナ「B5」の世界(23枚)