ティム・バーキン卿がル・マンで優勝した伝説のマシン「ブロワー」が新車で蘇る

007シリーズの原作でボンドカーとして登場したベントレー「ブロワー」が、「コンティニエシリーズ」の第1弾として12台限定で蘇ることが決定した。この復刻モデルは、ベントレーのビスポークとコーチワークを担うマリナーのスペシャリストの手によってハンドクラフトで作られる至高の1台だ。

ベントレーにもボンドカーがあった!? 12台限定で市販化決定

 1929年にティム・バーキン卿の依頼によって作られたスーパーチャージャー付き4 1/2リッター「ブロワー」が、12台限定で現代に蘇ることが決まった。ブロワーは、紛れもなく当時最速のレースカーの1台で、戦前のベントレーのなかでもひときわ鮮烈な印象を残したモデルだ。

 ティム・バーキン卿のレースチームのために製造されたオリジナルのブロワーは4台のみで、そのなかでもっとも名を馳せたのは、バーキン卿が自らステアリングを握り1930年のル・マンに参戦し、優勝の立役者になった2号車(UU 5872)である。

ベントレーのビスポークとコーチワーク部門であるマリナーが手掛ける最新プロジェクトとなる「ブロワー」

 ベントレー「ブロワー」コンティニュエーションシリーズは、サロン・プリヴェ・コンクール・デレガンスで、ベントレーのエイドリアン・ホールマーク会長兼CEOによって発表され、会長は次のように挨拶した。

「ベントレーが100周年を迎えた今年、過去を忠実になぞりつつ、最新鋭のデジタル技術を用い、私どもは非常に素晴らしいものを作り上げようとしています。4台のチーム・ブロワーは世界で最も価値あるベントレーであり、貴重なオリジナルを傷つけることなく、実際に運転できて、楽しめて、大切にできる復刻モデルを望む声にお応え致します」

 復刻にあたっては、ベントレーが所有しているシャシー番号 HB 3403のブロワーを分解し、各パーツを一覧にまとめ、それらの部品をすべて3Dスキャナーでスキャンし、完璧なデジタルモデルを作るところから始められた。

 そのデジタルモデルをもとに、オリジナルモデルが製造されたときに使用された1920年代の金型と治具、伝統的な工具に加え、最新の製造技術を用いて12台分のパーツが製作された。そのパーツをベントレーの熟練工が組み立てて仕上げた。

 12台の復刻モデルは、メカニカルな面でもルックスの面でも可能な限りオリジナルに忠実だが、安全性に関してのみ、目立たない部分をわずかに現代のシーンに合わせて変更が加えられている。

 もちろん、分解されたオリジナルモデルも詳細に点検され、必要に応じてメンテナンスされた上で、もとの姿に戻された。

 コンティニエシリーズのブロワーに搭載されるエンジンは、4気筒16バルブエンジンで、アルミニウム製クランクケース、鋳鉄製シリンダーライナー、取り外し不可能な鋳鉄製シリンダーヘッドが装備される。

 スーパーチャージャーは、アムハースト・ヴィリヤース製ルーツ式Mk Ⅳ型スーパーチャージャーの精巧なレプリカで、このスーパーチャージャーのおかげで4398ccエンジンは4200rpmで240馬力を発揮。

 車体構造は、プレススチールフレームと半楕円形のリーフスプリング式サスペンションとなる。Bentley & Draper製ダンパー、Bentley-Perrot製の40cmメカニカルドラムブレーキやウォーム&セクターステアリングが再現されている。

 ちなみに、007シリーズの作者であるイアン・フレミングもブロワーに魅了されたひとりで、彼の小説では主人公ジェームズ・ボンドが乗るボンドカーとしてブロワーが作中に登場する。

 ベントレーのエイドリアン・ホールマーク会長兼CEOは、ブロワーについて次のようにも語った。

「12台の新しいブロワーは、当社の伝統へのオマージュであるだけでなく、マリナーの卓越した職人技の結晶でもあります。当社にとっては新たな挑戦となりますが、先頃1939年製コーニッシュの復元に成功したことを足掛かりとし、さらに一歩進んで何か特別なものを製作したいという想いが私どもにはありました。まもなく、12人の幸運なお客様にベントレーの歴史的モデルをお届けできることを喜ばしく思います」

 12台のコンティニエーションシリーズが完成するのはおよそ2年後の2021年ごろを予定。気になる価格は、受注開始時に決定することになっている。

Gallery:【画像】原作007ではボンドカーはベントレーだった! 最古のボンドカーを詳細に見る(9枚)