便利? それとも不便!? EVのあるライフスタイルをあらためて考えてみた【大谷達也のEV再考 第3回】

遠くに旅行に行くのが大変、まだインフラが整っていない、いや維持費は安い、環境にも優しい。などなど、現状日本では賛否両論があるが、日産「リーフ」をはじめテスラや欧州メーカーのモデルなど、日本でもさまざまなEVが選べるようになった2021年のいま、実際にどんなメリットやデメリットがあるのだろうか。モータージャーナリスト大谷達也氏による連載3回目だ。

EVの弱点は 航続距離の短さと充電にまつわる不自由の2点

 連載の第2回でも説明したとおり、EVには現状、どのモデルを選んでもなんらかの弱点がある。

 日産「リーフ」はまずまず実用的だが、性能面でもクオリティ面でも、さらには走りの性能という面でも日本製コンパクトカーの常識の範疇に留まっている。

 テスラ「モデル3」はスーパーチャージングによって充電に伴う不便をほぼ解消している。およそ500万円という車両価格も魅力的だ。しかし、スーパーチャージャーは全国で28ヵ所が稼働しているのみ。しかも、高速道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)には設置例がない。その背景にあるのは「スーパーチャージャーはテスラだけのものなので、公共性が高いSAやPAに設置することはまかりならない」というお役所的な発想だといわれる。

 また、ディーラーネットワークを持たないことを含め、これまでの自動車と同じ感覚で使うにはリスクが伴うこともテスラの弱点だ。

アウディのSUV型EV「e-tronスポーツバック」を自宅の200V電源で充電。満充電での航続可能距離はWLTCモードで405km

 残る欧州プレミアムブランド製のEVは、高級感や走りの性能ではさすがと思わせるところがある一方で、大容量バッテリーを搭載しているがゆえに値段が高く、しかも急速充電は最高50kWのCHAdeMOしか使えないため、大容量バッテリーのメリットを生かし切れないという弱点にある(例外は、150kW充電が可能なポルシェ「タイカン」とアウディ「e-tron GT」)。

 こうして見てくると、EVの弱点は航続距離の短さと充電にまつわる不自由の2点に集約できることがわかる。

 もっとも、航続距離は400kmもあれば実質的な不便はほとんどないはず。国交省の統計によれば、1日あたりの自動車の走行距離は20km以下という家庭が、全世帯のおよそ50%を占めるという。この場合、充電は週に1回で十分だろう。つまり、500km以上を一気に走るような遠出でもしない限り、既存のEVで十分、事は足りるはずなのだ。

 しかも、もしも一軒家に住んでいて自宅に普通充電装置を備え付けられるのであれば、ウチでひと晩コネクターをつないでおくだけでほとんどのEVは満充電まで充電できる。この場合は、わざわざ充電器のある場所まで出かけなくていいのだから、燃料が少なくなったら必ずガソリンスタンドで給油しなければならないエンジン車よりもむしろ便利だし、多くの場合、エンジン車のガソリン代よりはEVの電気代のほうが安上がりとされる。

 つまり、一見不自由に思えても、ライフスタイルや考え方次第ではEVのほうが便利ということだってありうるのだ。

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