ロッキーがランボルギーニを颯爽とドライブ! ウラカンにつながる「ジャルパ」とは?【映画の名車】

アメリカンドリームの象徴的な映画『ロッキー』に、成功の象徴として登場するランボルギーニ「ジャルパ」。どのような思いでロッキーは、ジャルパをドライブしたのだろうか。

1980年代のクールな世界観を演出したランボルギーニ・ジャルパ

 1976年に公開され、シルヴェスター・スタローンを一躍世界のトップスターの座に押し上げた名作『ロッキー』。スタローン自身が手掛けた脚本に基づき、自身が主役ロッキーに扮して制作した低予算作品は、その後2006年の『ロッキー・ザ・ファイナル(原題:Rocky Balboa)』まで総計6作品がシリーズ化される大ヒット作となった。

 一方、それまで俳優を志しつつもハリウッドから認められず、ポルノ男優や用心棒で糊口をしのいでいたスタローンも、このシリーズの成功でスターダムにのし上がったことから、主人公ロッキー・バルボアとスタローンを重ね合わせた、アメリカンドリームのシンボル的作品としても世界的に認知されている。

1981年に発表されたランボルギーニ・ジャルパ

 ハングリー精神を持つヒーローが、不断の努力によってアメリカンドリームを実現するというプロットで成功した『ロッキー』は、ハッピーエンドやヒーローへのアンチテーゼをテーマとした“アメリカンニューシネマ”時代を終焉に追いやったともいわれる。

 しかし、そのシリーズ第4弾にあたる『ロッキー4/炎の友情』は、いささか異色の作品といえるだろう。この映画のロッキーは、既にアメリカンドリームを実現した成功者として登場しているのだ。

 シリーズ第2弾の『ロッキー2』で、宿敵アポロ・グリードを破って初の世界タイトルを獲得したロッキー。『ロッキー3』では親友となったアポロの協力を得て、一度は奪われたチャンピオンベルトの奪還に成功した。

 一方、タリア・シャイア扮する妻のエイドリアンとも結婚9年日を迎え、一人息子のロッキー・ジュニアと幸せな日々を過ごしていた。そんな時のことである。アポロは、この作品での活躍を契機にB級アクションスターの地位を獲得することになったドルフ・ラングレン演ずる旧ソ連のアマチュア・ヘビー級チャンピオン、イワン・ドラゴが渡米したとのニュースを知る。

 ドラゴは、世界ヘビー級王者であるロッキーとの対戦希望を表明した。それを聞いたアポロはロッキーに「引退して時間が経っても、戦士としての自分は変えられない」と語り、ロッキーに代わってドラゴとの対戦を受けると申し出た。かくして、ラスベガスのカジノホテルに特設されたリングを舞台に、ドラゴとアポロのエキシビジョンマッチが開催されることになる。

 ところが既に現役を退いて久しいアポロと、ソ連の国家的支援を受け、最新鋭科学の粋を駆使したトレーニングによる巨大な肉体を持つドラゴの実力差は、予想以上のものだった。ドラゴに打ちのめされたアポロは、リング上で命を失ってしまうのだ。

●劇中車としてのランボルギーニ・ジャルパの見どころ

 当然ながら、ロッキーの中には復讐の炎が宿る。かつての宿敵にして、今や無二の親友となったアポロ・グリードがリング上で公開処刑のごとく殺されてしまったことを許すわけにはいかない。しかしその復讐心とは裏腹に、年齢を重ねて大切な家族もいるロッキーは、最強かつ無慈悲な敵との対峙について思い悩む。そして、脳裏を去来する様々な思いを整理するかのごとく、愛車とともに走り出す……。

 『ロッキー4』の作品中でも特に重要なこのシーンの劇中車として使用されるのが、漆黒のランボルギーニ「ジャルパ」。“イタリアの種馬”というキャッチフレーズとともにアメリカンドリームを獲得したロッキーには、まさにピッタリのクルマである。

 1980年代に、アメリカはもちろん世界を席巻した音楽PVの影響を受け、美しい映像と’80sポップミュージックのBGMで構成されたこのシーンは、当時のハリウッドムービーの典型。

 また、この作品では脚本・主演に加えて監督も務めたスタローンと、のちに彼の妻となるブリジット・ニールセン(ドラゴの妻役で出演)らは、『ランボー/怒りの脱出』と『レッドソニア』も併せて、この年のゴールデンラズベリー賞10部門中8部門にノミネート。5部門を受賞するという不名誉な記録を残している。

 しかし、公開から長い年月を経た現在の目で見ると、当時の制作サイドの意向が痛いほどに伝わってくる気もする。心に痛手を受けたヒーローのロッキーと、彼の出自やヒロイックな精神を体現したジャルパ。そしてクールなBGMを交えた世界観を創りたかったスタローンの気持ちもよく分かるのである。

ランボルギーニ・ジャルパ(シリーズI)

●Lamborghini Jalpa
ランボルギーニ・ジャルパ
・生産年:1981年
シルエットの後継機種として登場。3485ccのV型8気筒エンジンをリアミッドに搭載する。デザインはベルトーネの手によるものである。

●『ロッキー4/炎の友情』/ ROCKY IV
公開年:1985年
上映時間:132分
監督:シルヴェスター・スタローン
出演:シルヴェスター・スタローン、タリア・シャイア、バート・ヤング、カール・ウェザース、ドルフ・ラングレン、ブリジット・ニールセン

Gallery:【画像】いま見ると新鮮でカッコいい! ランボルギーニ・ジャルパ(7枚)