フェラーリのカースト制度を解説! 一番高価な跳ね馬とは?

スーパーカー・カースト制度において、トップに君臨するフェラーリは、間違いなく憧れのブランドである。しかし、同じフェラーリのクルマでも、そこにはまたヒエラルキーが存在するのである。その見えざる階級を分かりやすく解説しよう。

フェラーリはオーナー間でもヒエラルキーが存在する!?

 話は変わって、近・現代のフェラーリのヒエラルキーについて。その最上位に位置するのが「288GTO」から現代の「ラ・フェラーリ」または「SF90ストラダーレ」に至る、一連の「スペチアーレ(スペシャル)」であることは、議論の余地もないだろう。

 また「360チャレンジストラダーレ」から始まった、量産モデルのハードコア版的スペチアーレについても、純粋な専用設計スペチアーレに次ぐ評価が与えられている。

 しかし、さらなる特別さを求めるフェラリスタたちには、日本の平松潤一郎氏のオーダーで作られた「SP1」を世界第1号とする「ワンオフ・プログラム」が用意されるほか、同プログラムを拡大解釈した超少数ロットの特装モデルも時おり製作され、500台前後が作られる「スペチアーレ」を凌ぐ存在として認識されている。

●フェラーリ界でもヒエラルキーは薄れつつあるのか?

昨今では「GTCルッソ」のボディにV8を搭載したり、V8ベルリネッタの性能が高くなったこともあって、従来のヒエラルキーで通用しない部分も出てきた

 一方、シリーズ生産モデルについては、前世紀までは12気筒モデルが8気筒モデルに対して明らかな存在感を示していたのは間違いないところだろう。

 しかし360シリーズが登場したあたりを契機に、V8ベルリネッタは同時代からFR化されたV12ベルリネッタに匹敵する速さと存在感を身につけ、ヒエラルキーにも大差はなくなった感がある。

 唯一「カリフォルニア」から「ポルトフィーノ」に至るV8+FRモデルは、依然としてエントリーモデルの性格を帯びてはいるようだが、その傍ら新たに登場した「ローマ」にはこれまでのフェラーリとはちょっと異なる価値観も込められ、従来のヒエラルキーからは超然とした存在であるかに映る。

 そして、本来V12を搭載する「GTCルッソ」のボディにV8ツインターボを搭載してしまうという、かつてのフェラーリの伝統からすれば「おきて破り」といわざるを得ないモデルまで登場してしまった現在。さらにはハイブリッド化、さらにはEV化が進むこれからの世にあっては、フェラーリという特別なブランド内でのヒエラルキーにも、旧来のフェラーリ・ファンの価値観や常識が通じない、大きな変化が生ずるかと思われるのだ。

長く気に入ったフェラーリを所有するか、最新モデルを次々に乗り継いでいくか、そのどちらにしてもフェラーリを愛好する情熱には変わりはない

 さて、これまで話してきたように、フェラーリ歴代モデルとそのマーケット価値については、たしかなヒエラルキーが存在するようだが、それぞれのモデルのオーナー間にもヒエラルキーを及ぼすのかと問われれば、長らくフェラーリの世界を裏方の立場から見てきた者からすると、必ずしも「イエス」とはいえない。

 つまり同じフェラーリのなかでも、これまで上げてきたような上位ヒエラルキーに属する車両を所有していることが、そのままオーナーのヒエラルキーを左右するとは限らないのだ。

 筆者自身は当代流行りの、いわゆる「パリピ」的なスーパーカーソサエティとは縁が無いので、そちら方面のヒエラルキー事情については不明である。しかし老舗のフェラーリ愛好家クラブ、例えばフェラーリ本社公認クラブである「フェラーリ・オーナーズクラブ・ジャパン(FOCJ)」などのイベントにおいては、新規加入メンバーの「812スーパーファスト」や「F8トリブート」よりも、ベテラン会員が数十年にわたって所有している「308GT4」や「308GTS」の方が仲間内でのリスペクトを集めるような様子を、これまでにも幾度となく目の当たりにしてきている。

 これは自動車エンスー界のみならず、あらゆる趣味の世界においても同じことだと思うのだが、これはと決めたフェラーリを愛車に選び、長きにわたって大切に維持する。あるいはフェラーリの「今」を絶えず体感するために、最新モデルを次々と乗り継いでゆく。いずれの道を選ぶとしても、フェラーリというブランドを愛好し続ける真摯な情熱を保ってきた期間の長さと姿勢こそが、周囲からのリスペクトの決め手になるというべきだろう。

 もっともそんな年季の入ったフェラリスタたちは、昨今いうところの「カースト」的なヒエラルキーなどには、まったく興味を示さないに違いあるまいが……。

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