今買わないと後悔するアルファロメオ4C、その理由とは?

採算を度外視して生産されたといえるアルファロメオ「4C」のオープンモデルであるスパイダーに改めて試乗。どうやら後継モデルのない4Cは、新車で購入できるリアルスポーツの系譜を受け継ぐ、アルファロメオの最後の1台となるかもしれない。

バーゲンプライスのアルファロメオ4Cもいよいよラスト!

 アルファロメオというブランドが今、大きく変わろうとしている。先日アルファロメオから発表された中期的な計画によれば、プレミアム・ブランドとしての同社のポジションはそのままに、今後生産されるモデルを2021年までに「ジュリア」、「ステルビオ」、そして新開発されるクロスオーバーSUVの3モデルに集約することになった。さらに2022年にはフルEVのSUVを投じるとしている。

 上級、高性能なモデルに関しては、マセラティがそれを補完する計画で、こちらは2020年中には新型スポーツカー、翌2021年にはそのカブリオレとグラントゥーリズモ等々、新型車攻勢はアルファロメオ以上に積極的なものだ。

「ミザーノブルー(メタリック)」がエレガントな印象をさらに強くする。ボディカラーは4Cスパイダー・イタリアの限定カラーだ

 だがこの中期計画を見て、残念に感じるイタリア車ファンもきっと多いことだろう。それはフィアット以上、マセラティ未満という、まさにジャストなサイズとパフォーマンスで我々を楽しませてくれていた、アルファロメオのスポーツモデルが、この中期計画のなかに含まれていないからだ。

 もちろんアルファロメオは、「クワドリフォリオ」などの高性能グレードを用意してくれることは間違いないのだろうが、「8C」、「4C」とサクセスストーリーを刻み続けてきたアルファロメオのピュアスポーツは、今後は後継車が誕生しないということになる。

 FCAジャパンのホームページでは、すでに4Cの限定車両の販売が終了した旨のインフォメーションがあるが、これだけ魅力的なスポーツカーは、今後もそう簡単に生まれることはないだろう。新車購入を考えているのならば迷っている時間はない。貴重な一台を、何とか見つけていただきたい。

 アルファロメオ4Cは、採算を度外視して生産されたモデルともいえた。例えばそのモノコックはCFRP(炭素繊維強化樹脂)によるものだが、その成型技術にはハンドメイドの行程が多く必要であり、したがって本来は大量生産されるモデルには適しておらず、価格もきわめて高価なものとなる。

 ドアを開け、バケットタイプのシートへと身を収めようとすると、まず越えなければならない太いサイドシルだが、これはバスタブ形状のモノコックの一部である。シートへの収まりは良く、Dタイプの2本スポークデザインのステアリングも握りやすい。その後方に見えるメーターパネルの視認性や、スイッチの操作性はまずまずといったところか。

Dタイプの2本スポークデザインのステアリング。ナビは後付けとなる

 今回試乗したモデルは、キャンバス製のトップを備えるスパイダーだが、走行中のストレスのほとんどはモノコックが負担するため、コーナリングや乗り心地でクーペとのハンデを感じることはほとんどない。

 このカーボンモノコックの魅力をダイレクトに感じさせる4Cの通常ラインナップモデルが、わずか865万円というプライスで購入できるのだ。繰り返すが、これを採算度外視といわず何といおうか。

 リアミッドに搭載される1742ccの直列4気筒DOHCターボエンジンは、最高出力&最大トルクで240ps&350Nmである。これに組み合わせるミッションは6速のAlfa TCT(デュアルクラッチオートマチック)で、駆動輪はもちろん後輪となる。

 一見エンジンのスペックは普通に思えるかもしれないが、全長×全幅×全高で3990×1870×1190mmのボディは、車両重量がわずかに1060kg。正式なテストデータによれば、0-100km/h加速は4.5秒だが、実際にはそれ以上の加速感と楽しさを感じさせてくれる。

 最近のスーパーカーは、その途方もないパワースペックゆえに、オンロードではフルスロットルの加速を楽しむことなど不可能に近いのだが、この4Cスパイダーではたびたびそのチャンスが訪れる。トップエンドに至るまでの直列4気筒ターボエンジンのスムーズさを味わいながら、ワインディングでは6速ミッションのスピーディなシフト制御やステアリングの正確さ、そして何よりミッドシップという基本設計がもたらすコーナリングの素直さを味わいながら、至福の時間を楽しめる。

直列4気筒のエンジンは、240馬力&350Nmを発揮する

 ドライブの途中でクルマを停め、改めて4Cスパイダーのエクステリアを見る。その姿はやはりイタリアン・スポーツらしい美しさと躍動感に満ち溢れたもので、アルファロメオ自身が謳う、ティーポ33/2ストラダーレが現代へと復活したかのような妖艶さを醸し出している。

 4C以前にV型8気筒エンジンを搭載して誕生した8Cにも、美しいクーペ&スパイダー・ボディが与えられていたが、サイズがよりコンパクトになったことでスポーツカーとしてのパフォーマンス、そして空気の壁を切り裂くための力強さがさらに強く表現されるようになった。

 アルファロメオは、これからマセラティとともにどのような未来を歩んでいくのだろうか。もしも叶うものならば、4C、そして8Cの後継車を見て、そして官能的で魅惑的な走りを楽しんでみたかったと考えるファンは、世界中できっと多いに違いない。

4Cは伝説の名車アルファロメオ「Tipo33/2 Stradale」の後継車として誕生

●アルファロメオ4Cスパイダー・イタリア(限定モデル)
・車両価格(消費税込):1130万5556円
・全長:3990mm
・全幅:1870mm
・全高:1190mm
・ホイールベース:2380mm
・車両重量:1060kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1742cc
・エンジン配置:リアミッド縦置き
・駆動方式:後輪駆動
・変速機:6速AT
・最高出力:240馬力/6000rpm
・最大トルク:350Nm/2100-4000rpm
・0-100km/h:4.5秒
・最高速度:257km/h
・ラゲッジ容量:105リッター
・燃料タンク容量:40リッター
・サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン式、(後)マクファーソンストラット式
・ブレーキ:(前)フベンチレーテッド・ディスク、(後)ベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)205/40R18、(後)235/35R19

Gallery:【画像】アルファロメオ4Cの細部を検証する(20枚)