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「いせさきメイセン 〜メイセンは二度死ぬ〜」展 3月23日まで松屋銀座7階にて開催中

大正/昭和期の女性を彩った絹織物の日常着が銘仙(メイセン)

 東京・銀座の松屋銀座7階デザインギャラリー1953にて、第764階デザインギャラリー1953企画展「いせさきメイセン〜メイセンは二度死ぬ〜」が2020年3月23日(月)まで開催中だ。

  • その技法にスポットを当てた銘仙の展示風景。 Photo Nacasa & Partners

 メイセン(銘仙)とは、明治から昭和初期にかけて女性を華やかに彩った絹織物の日常着だ。

 本展は、そのその代表的な産地である群馬県伊勢崎市で生産された、世界で類を見ない高度な技法「併用絣(へいようがすり)」に焦点をあてつつ、46点に及ぶ新旧の銘仙コレクションの数々を観覧できる貴重な機会となる。

 近年、銘仙は著名なファッションデザイナーに影響を与えるなど海外での評価が高まっており、この展覧会で展示している「21世紀銘仙」は、イギリスのヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)で開催中の展覧会「kimono:Kyoto to Catwalk」にて同時公開されるものだ。

 今回の展覧会で最初に目に入るのは、2016年に復元された併用絣の技法で制作された「21世紀銘仙」の3点。併用絣はその高度さから、他の産地が真似をすることができなかったこともあり、大正から昭和にかけて群馬県伊勢崎市のみで制作されていたが、一度は完全に廃れてしまう。

 今回展示している「21世紀銘仙」は伊勢崎市在住の杉原みち子氏、金井珠代氏が中心となり、職人たちとともに3年に及ぶ歳月をかけて復元したものだ。

 銘仙の技法にフォーカスしたこの展覧会では、併用絣以外にも「括り絣(くくりがすり)」「板締め絣(いたじめがすり)」「解し絣(ほぐしがすり)」など、技法ごとに銘仙のバリエーションも紹介していく。

 会場内には14に及ぶ併用絣の製作工程を紹介する写真やイラスト、刷毛や型紙などの道具類も展示される。

 今回の展示のクライマックスは、壁一面にならぶ32点に及ぶ大正/昭和初期当時の銘仙コレクションだ。当時のファストファッションともいえる存在だった銘仙から、新しい時代の訪れを謳歌する当時の女性たちの姿を垣間見ることができる。

 今回展示される「21世紀銘仙」のV&Aでの収蔵が決定した矢先、伊勢崎ではその製作に欠かせない数々の道具が雲散するという自体に見舞われ、併用絣はその二度目の死を迎える。復活が未来に委ねられたいま、本展を通じて「いせさきメイセン」を生んだ技術と情熱の存在を、多くの人に知ってもらうことに大きな意義があると考えていると主催者はいう。

  • 32点におよぶパネル化された銘仙コレクションの数々。 Photo Nacasa & Partners

開催概要

タイトル:第764回デザインギャラリー1953企画展「いせさきメイセン 〜メイセンは二度死ぬ〜」
会場:松屋銀座7階デザインギャラリー1953
住所:東京都中央区銀座3−6−1 
会期:2020年3月23日(月)まで(最終日17時閉場)
開館時間:松屋銀座の営業時間に準じる
入場料:無料

Gallery 伊勢崎で復活した絹織物 「銘仙」世界を画像で見る(10枚)
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