ビリケンさんが100年前のクルマのマスコットだった! RMサザビーズ・オークションで落札

かつてボンネットの先端にあったラジエターキャップに、装飾を施してできたマスコット。現代ではロールスロイスのスピリット・オブ・エクスタシーやベントレーのウイングドBがすぐに思い出されるが、1900年代初頭には、自由な発想でさまざまなデザインのマスコットが生み出されていた。

クラシックカーだけではない、オークションのもうひとつの楽しみ方

 オート・オークションには、実際に出品車を落札する、あるいは出品者となるといった最も基本的なものから、プレビュー出品車を見学したり、あるいはオークションそのものを楽しんだりと、さまざまな楽しみ方がある。

 そして、そのオークションがもっとも身近な存在になるのがオートモビリア、日本語に訳せば自動車関連の蒐集物。オート・オークションでは、同時にオートモビリアが出品されることも多く、カタログや書籍、ミニチュアカー、パーツといった自動車に関連するさまざまなアイテムが、次々に落札されていく。その落札価格は、自動車と比較すればさすがに高価ではないから、オークションに参加するという経験をしてみるには、オートモビリアは誰にとっても魅力的な存在といえるだろう。

日本でも有名なビリケンは、もともとは米国うまれ (c)2019 Courtesy of RM Sotheby’s

 今回はそのオートモビリア・オークションの中から、1920年代から1930年代を中心に、さまざまな作品が誕生したマスコットを集めた、RMサザビーズ社の、「オーナメンタル・オンライン・マスコット・パートⅢ」をレポートしてみることにしよう。

 ちなみにこのオークションは2020年の1月28日から2月4日の一週間にわたって、オンラインのみでの入札がおこなわれたものである。

 入札者は一定額以上のデポジットを自分のクレジットカードで処理されることで、このオンライン・オークションに参加できる仕組みだ。オークション会場の独特な興奮こそないものの、冷静に品定めをしたうえで入札することができるので、メジャーなオークショネアのイベントを初体験するにも最適なオークションであった。

 参考までに今回用意されたロット(出品数)は50。すべてがリザーブ(最低落札価格)の設定がない、非常にシンプルなオークションだった。

もっとも高値で落札されたパン・アメリカン万博のお土産品であるマスコット (c)2019 Courtesy of RM Sotheby’s

 かつて多くのマスコットが製作されたのは、それを自動車のラジエーターキャップとして使用するためだった。最初はただのキャップに過ぎなかったのだが、そこに彫刻、すなわち美術品としての価値が生まれ、多くの彫刻家が競うように、美しいマスコットを製作するようになる。

 もちろん自動車メーカーも自らのエンブレムをマスコットとしてフロントエンドに掲げるようになるが、特別に製作された美術品たるマスコットは、自動車が使用されなくなった後もコレクションとして大切に保管され、現在でもコレクターズアイテムとして流通しているのである。

 その人気を物語るひとつの数字が、100%というオークションでの成約率だろう。ちなみにもっとも高値で落札されたのは、1915年のパン・アメリカン万博で、お土産品として販売されたマスコットで、落札価格は1170ドル。

 ほかの商品も500ドル前後が中心的な落札価格で、日本でもお馴染みのビリケンをモチーフとした1909年製のマスコットは、144ドルで落札されている。

 ちなみにビリケンは、アメリカで1908年にデザイン特許が取得された幸運の神の像であることを、今回のオークションで個人的には初めて知った。オート・オークションの世界はクルマだけではない。オートモビリアの面白さもまた、世界中のエンスージアストが熱い視線を注ぐところだ。

Gallery:【画像】ビリケンさんからブルドックまで。マスコット百花繚乱(24枚)