2000万円以下だけどF1マチックは大丈夫!? 「599」と「575M」の決定的な違いとは?

フェラーリのカタログモデル・フラッグシップモデルであるV12エンジン搭載モデルは、「550マラネロ」でフロントにエンジンをマウントするFRへと回帰した。日本ではリアミッドマウントのV8モデルに人気が集まりがちだが、FR V12フェラーリのオークション・マーケットでの評価をレポートしよう。

「575M」は再評価されている!?

 COVID-19の影響によりオンライン限定とされた「OPEN ROAD FEBRUALY」オークションは、RMサザビーズ社の北米本社および欧州本社の双方から出品がおこなわれ、そのアイテム数は自動車だけでも108台に及んだ。

 そのなかから今回VAGUEが注目したのは、常にクラシックカー/コレクターズカー国際マーケットの指標となるフェラーリ。FRとなってからのV12ベルリネッタ2世代のあらましと、そのオークション結果についてレポートしよう。

●2003 フェラーリ「575Mマラネロ」

6速MTではなく「F1マチック」であるにも関わらず、なかなか高額なプライスで落札された「575Mマラネロ」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby’s

「BB」系および「テスタロッサ」とその係累ではリアミドシップ・レイアウトを選んでいたフェラーリのV12ベルリネッタだが、1996年に登場した「550マラネロ」では23年ぶりにFRレイアウトに回帰。そして2002年のパリ・サロンでは、550マラネロのマイナーチェンジ版である「575Mマラネロ」がワールドプレミアされた。

「M」はイタリア語で改良されたことを意味する「Modificato」の頭文字である。その名が示すとおり、搭載されるエンジンは、550の「ティーポF133」型5.5リッターV型12気筒エンジンを改良・拡大した「ティーポF133E」。

 ボアアップにより排気量は5.7リッターとされ、パワーは485psから30psアップの515ps/7250rpm、トルクも3kgmアップの60.0kgm/5250rpmとなった。

 トランスミッションは従来の6速MTに加えて、フェラーリ12気筒モデルとしては初となるパドルシフト式6速シーケンシャルMT「F1マチック」も選択可能となり、生産された575Mの大多数がF1マチック仕様としてラインオフしたという。

 今回のオークションに出品された575Mマラネロは、2003年6月に生産された「F1」仕様だ。ダークブルーのボディに「クオイオ(ナチュラルレザー色)」にカラースキームが選択されている。

 またイエロー塗装のブレーキキャリパー、左右フェンダーの「スクーデリア・フェラーリ」の紋章、そして「デイトナ」スタイルのシートインサートなどのエキストラオプションが満載された、この時代のフェラーリが好きなファンにとっては魅力的に映る1台といえよう。

 販売にあたって添付されたドキュメントによると、この575Mマラネロは北米に向けて輸出された1台で、最初に登録されたミシガン州で2005年まで保有されたことが示されている。

 そののちニューヨーク、コネチカット州、バージニア州にて過ごし、今回のオークション委託者である現オーナーの入手に際してカナダに輸入。以来モントリオールで、そのコレクションの一端を担ってきたとされる。

 カナダに輸出されるまでに約1万500マイル(約17000km)に達していたオドメーターは、現在では通算で1万2400マイル弱、つまり約2万kmを示している。

 サービス履歴を示す請求書では、ブレーキキャリパーが2017年に再塗装されたことや、575Mマラネロでは定番とされる弱点、直射日光で伸びやすくなるダッシュボード上の革製トリムが交換されたことが記されている。

 同時に、エンジンオイルおよびフィルターを交換したマイナーサービスを受けているが、それ以来一定の距離と期間を経ていることから、路上で運転される前には再びメンテナンスを受けることをRMサザビーズでは勧めている。

 加えて添付されたドキュメントでは、この個体がアクシデントに巻き込まれた経歴があることも正直に記されている。ただし、いわゆる「事故車」とはならない程度の損傷で、助手席側のリアクォーター部の再塗装だけで済んだようだ。

 この575Mマラネロに、RMサザビーズ北米本社は11万−14万ドルのエスティメート(推定落札価格)を設定。そして2021年2月末日におこなわれたオンライン競売においては、オークションハウス側に支払われるコミッション(手数料)込みで12万6500ドル、日本円に換算すれば約1370万円というなかなかの高価格で、無事落札となった。

 550マラネロに比べれば格段に生産台数が少ないこともあり、575Mマラネロはもとより高価となる事例が多いのだが、マニュアル車でもないのに、また小規模とはいえ事故の経歴もあるにも関わらずこれだけの評価を得るということは、マーケットにおける評価がじわじわと高まっていることの証かもしれない。

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